料金設定の「標準ガイドライン」の4カテゴリー(@全館A客室B食事C大浴場)のうち今回は、飲食と大浴場について概略をみる。
B−1食事会場ハード
食事会場は、大別すると客室(部屋出し)、食事処、レストラン、宴会場(バイキング会場)などに区分できる。(※部屋出しの客室については前回の客室ハードを参照)
各会場に共通するのは、 面積と定員1人あたりの面積が示す空間性(広さ)をはじめ、傷や汚れを含む清潔性、景観や装飾あるいは照明・採光などの雰囲気に対する評価だ。また、食事処やレストランでは時間帯の自由度、バイキング会場では対応時間などが評価の対象となる。さらに、食事処では小間客に対応した個室や間仕切りの状況も欠かせない。
B−2食事ソフト
食事は料理内容や素材(地産地消などの特徴づけ)、提供方法と提供時の接遇といった項目に分類できる。また、これらは部屋出し、食事処、レストランに共通性がある。それらを列挙すると、「お品書き」
の有無をはじめ、アレルギーなどへの個別対応を含む嗜好の選択、メニュー化開発の一環として季節ごとのメニュー変更、連泊への対応、 追加オーダー(アラカルト料理)への対応など料理そのものにかかわる部分がある。
また、接遇面では料理内容の説明(部屋出し、食事処、レストラン)や、接遇に携わる接客係の体制(係1人あたりの受け持ち客室数)などが判断基準となるほか、バイキングでは料理の補充体制なども評価する必要がある。
このほか衛生管理面では、調理場における「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・躾あるいは習慣化)の徹底状況、食品衛生管理マニュアル策定の有無、衛生検査としての定期的な食品衛生検査の実施などの状況も欠かせない。
C−1大浴場ハード
旅館の大浴場は、天然温泉の有無にかかわらずハード面で大きな誘客要因になっている。したっがて、大浴場のスペックは明確に表示する必要がある。第一は天然温泉利用の有無であり、最近では利用者の関心が源泉の「掛け流し」や半循環・循環などに及んでおり、これら実態を適正に表示することが欠かせない。
大浴場の基本は、 浴場そのものと浴槽の面積や定員1人あたりの面積が示す空間性(広さ)をはじめ、経年状況や日常のメンテナンスなどによる清潔性、浴室・浴槽の材質(大理石、岩石、檜など)やそれら大浴場の数のほか、装飾あるいは照明・採光などの雰囲気などが評価ポイントとなる。とりわけ旅館の大浴場では、それらの要素と融合した景観が評価のうえで重要な位置を占めている。 また、種類として露天や半露天、サウナなどのほか、用途としての家族風呂(貸切)の有無、打たせ湯やジャグジーをはじめとする各館各様の施設展開も特色として加味される。付帯部分では、脱衣場の冷暖房設備、パウダールームの仕様、湯ざましスペースの設置など多岐にわたる。
C−2大浴場ソフト
大浴場での接遇は、人的な直接サービスではなく、メンテナンスの展開状況(要員やチェック体制)をはじめ、浴場内のシャンプーやボディソーあるいはパウダールームの化粧品といったプアメニティ用品、バスタオルやドライヤーなどの提供、湯ざまし処のサービス内容、セキュリティへの対応、
ベビーベッドの設置など利用者への快適性の提供度合いが評価対象になる。
また、天然温泉の利用では成分表の表示も適正に行わなければならない。加えて、換水の状況やレジオネラ菌検査の実施状況についてのターム(期間)も品質の一環として問われる。
◇ ◇ ◇
料金設定の「標準ガイドライン」を4カテゴリーに区分して概略を記したわけだが、実際にはさらに各項目を詳細にチェックすることになる。結果として「何を、どこまで」提供しているかが見えてくる。対外的には説明責任であり、
対内的には経営実態の把握につながることを、まず最初に理解してほしい。
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