前号で「旅館の経営者は、発想を変えないといけない」と提起した。そして、現在の旅館業界は、「経営悪化→ファンド(等)→異業種経営」の構図下で、異業種から参入した新興勢力に直接間接の影響を否応なく被りつつある。
そうした観点で現状の経営面を捉えると、体制派である「伝統旅館連合軍」と新興勢力の「異業種連合軍」による闘いが、業界全体で繰り広げられているといっても過言ではない。そして、利益を創出するマネジメントといった経営形態の比較に限っていえば、伝統旅館連合軍の旗色が悪い。というのも、人間は自分の不得手を隠す傾向がある。いわば、相手に弱点を晒さないようにする。そこで、攻めるときの常套手段は、それを逆手にとって相手の弱点を突くことになる。
問題は、自分の弱点を知っているからこそ隠せるのであって、知らなければ隠しようがない。知らないことは、無防備にも等しいわけだ。弱点を、知るか知らないか、あるいは知ろうとしないかは、まさに経営者の資質に委ねられている。
そして、成功するにも失敗するにも相応の理由がある。そこで今回から、すでに述べた「経営者の資質9カ条」に照らしながら、実態を検証してみたい。
(1)GOPを必ず確保している(GOPが下がったら「決断」する)。
(2)目標設定がしっかりしている(頭の中の目標設定)。下方修正が無い。経営も同じ。
(3)着眼点・行動力・思考力・洞察力のバランスが良い。とりわけ「着眼点」「行動力」が共通している。
(4)組織長に「任せている」様で、「任せていない」(全国大会レベルは自分が握っている)。
(5)駆け引きしていい人(業者)と駆け引きしてはいけない人(社員)を区分している。
(6)アポイントが取れる(計画性がある)。
(7)計算高い(気づかれないように・・)。
(8)人の話を素直に聞く姿勢がある(実は頭の中では「既に結論が出ていても」・・)。
(9)良い社会人=良い経営者
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