単価の低価格化が進み、さらに政府がデフレを表明したことで、今後2年以上は単価の下落が続くものと想定した上で経営戦略を練るのが必定(第18回参照)。そうした中で、旅館の誘客要因である「宿泊・温泉・料理」のうち、取り急ぎ料理運営の刷新で不動産業としての基軸である「室料」(4500円以上)を確保するには、これまで指摘を繰り返してきた料理運営に抜本的なメスを入れる必要がある。それにより、単価6000〜9000円でも基本ベースの室料は、適正に確保できるとしてきた。もちろん、室料確保のために料理の魅力が下がるような材料原価の極端な切り詰めや、接客係の減員など質のダウンは、結果としてお客に満足を提供できなくなり、将来の展望も危ういものになってしまう。
そこで、新たな宴会方式として「調理人おもてなし宴会」の提案を筆者はしている。ポイントは、料理運営で高コスト化の主要因である接客コストの低減だ。仮に、接客要員1人が15人のお客さまに対応した場合、従来方式と新方式では大きな違いがある(右表参照=与件は3会場で各6人の接客係を想定した場合、従来方式では18人が必要だ)。
新しい宴会方式は、訓練の行きとどいた6人を核にオールラウンド要員を活用し、さらに目玉となるのが調理人による宴会場パフォーマンス(表中のグレーゾーン=中出し料理の盛り込みなど)だ。それと、開始時間に30分ほどのタイムラグを設け、運営の実態を3分割したことだ(@あいさつ・乾杯A宴会・中出し料理B止め椀・締め)。
これによって、接客要員は大幅に減員されるだけでなく、調理人のパフォーマンス効果は、満足感と話題性の両面で大きく寄与する。低価格化路線でも十二分に太刀打ちできよう。
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