予約販売管理システムのまとめとして、前回はコンピュータ化に触れた。それを踏まえて現実の予約現場をみると、およそ次のことがいえる。当然ながらコンピュータは導入されている。だが、お客さまの要望が多様化していることから、作業画面上や出力された帳票上では「備考欄」ばかりが、やけに充実(?)している。この備考欄がデータを処理する際のネックにもなっているのだ。もちろん、システムをカスタマイズすることで解決も可能だが、それには高額な改造への出費がともなう。といって放置すれば、何のためのコンピュータ導入かわからない旧態然の作業環境になり、システムとして機能しなくなる。
それならば、システムを機能させるために再投資か――の堂々巡りに陥ってしまう。実は、そこに現実という名のもとで行われてきた「質の妥協」の本質がある。
ここで「質の妥協」をした経営体質を考えてみよう。喩えるならば「相手がクシャミをすれば、こちらは風邪をひく」ような状況が、質を妥協した経営体質に内包される怖さだ。なぜ風邪をひくのかといえば、理由は2つある。第1は、基礎体力の問題だ。どんなに大きな図体(量)を誇っていても、不摂生(質の妥協)で基礎体力を落としてれば、風邪に感染する危険度は高まる。第2は、風邪薬のコマーシャルではないが「早めの措置が肝心」ということ。日々変化する状況に対して適正で時宜を得た措置が講じられなければ、軽微な風邪でも重症へと悪化する。
こうした2つの理由への対処として、第1点は「客数あれど利益なし」の状況を改善すること(構造改革の大テーマだが、詳細は別の機会に細述したい)。第2点は、システム運用の問題だ。ここで考えなければならないのは、マネジメントとワーカーは別だということ。全国大会レベルのマネジメントを経営トップは行うわけだが、ワーカーは地方大会や県大会レベルの作業しかできない。しかし、経営トップがワーカーを使いきれば、相応の力を発揮させることも可能だ。いい換えれば、コンピュータを使用する技術面だけをみれば、トップより高度な技術をもった人材が周囲にいるかもしれない。トップが理想を描き、そのプロセスを明確に提示できれば、それをシステムに転化するのがワーカーということになる。つまり、そうした人材を確保して即時対応のできる仕組みを社内に構築しておくことが、風邪をひかない特効薬として欠かせない。ただし、それに応えられる人材が社内にいるかどうかは疑問だ。中途半端な〈コンピュータ・オタク〉とプロセス展開の不得手なトップが推進役になった状況などは、想像するのさえおぞましい。前回、アウトソーシングが必要と記したのは、そのためだ。
そうした意味相から筆者は、さまざまなアセンブリーを提供できる「予約販売管理システム」を提唱している。前々回の本コラムと左表を対比参照されたい。
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