「求める理想は実現する」 その8
予約オペレーション発想

Press release
  2006.05.27/観光経済新聞

 前前回は、@予約受付Aデータクリーニング&部屋割り作成B館内指示文書作成C先行予約・受付管理といった作業の区分けと順序の面から予約販売管理システムの「幹」を捉えてみた。こうした一連の流れは、館内運営をスムース化するのと同時に、ムリ・ムラ・ムダを省くことでオペレーションコストの低減にもつながる。また、適切で一貫したデータ出力は手間と時間を省くだけでなく、単純ミスの発生を防ぐことにもつながる。このことは、旅館にとって重要課題の1つであるクレーム撲滅にも大きくかかわり、視点を換えればCSアップを陰で支えることにもなる。

さらに、「先行予約解析」を行うことで、予算数値に達していなければ直前の特割をはじめ必要なカンフル措置を講じることができる。売上分母の拡大策にも対処することが可能なわけだ。まさに、予約おける「理想の形」が予約販売管理システムによって実現する。
だが、前々回までの実情把握で記してきたように、多くの旅館では「何人いても十分ではない」といって手をこまねいている。かつてアンタッチャブルといわれた厨房と同様に、合理化やシステム発想の受け入れられない「錬度の砦」のごとく扱われている実態がある。そこに至る要因分析は重複するので割愛するが、要は前回記した「業務区分vs予約業務リリース」の発想で再度見直してみることである。
こうしたシステム発想を旅館経営者に投げかけると、ほとんどが「そのとおり」と頷くのだが、そのあとに「だが……」となる。経営者として予約作業の現場は見ているのだが、人の所作(作業風景)だけを見て、作業の内実(データ=モノの動き)を捉えていないためだ。いわば目先の光景(人の動き)だけを見て、さらに現状の人数だけで対処しようとする限り「だが……」とならざるを得ないのは必定だ。
なぜ、そうなるのか。答えは「予約のオペレーション」という発想のないことが大きな要因となっている。というのも、一般的に「相手がある」といわれる部門では、いわゆる「待ちの姿勢」が強い とりわけ外部からもたらされる予約では、「いつでも対応できる体制」という大義が生じ、実態として「待ちだけ」の業務態勢を正当化させている。もちろん、待ちの間に他の作業をやらせているケースもあるが、錬度の高い担当者であれば大義を振りかざし、錬度が低ければ与えられた業務に追われて本来の業務がおろそかになるなど、隙間作業の効果は疑わしい。
これに対して予約販売管理システムにおける「予約のオペレーション」は、左図に示すようにオペレータ個々の作業内容を把握し、それに相応しい作業を管理者が適切の与えていくものだ。図中の斜線や黒く塗りつぶされた部分が受付業務外の仕事を与える時間帯であり、さらに錬度や応対量を見定めながら、管理者が与える業務内容をコントロールし、確認するする。これによって作業環境から「待ち」の大義を排除した理想のオペレーション環境が構築されることになるのだ。

(つづく)