予約販売管理における現状を把握するために、5回にわたって課題を整理してきた。これらは、ある意味で予約販売管理の枝葉ともいえる部分だった。そこで今回からが、根幹的な部分で整理を行っていきた。
というのも、予約部の業務内容は、いわゆる予約受付だけではなく、受け付けた予約のデータクリーニング、さらに館内運営の指示(月間、週間単位など)、先行予約解析など広範囲にわたっている。すでに、予約部は「宿泊前日までの総指揮者」と位置づけてきたように、業務内容とりわけ出力されるデータは、各部署に大きく作用している。例えば、一般には1週間前に行っている「週間料理データ」の出力がある。そこには客数もあり、全部署がそれを閲覧して各部署ごとに人員計画などを決めている。また、毎日行われている翌日の部屋割りにしても、それをもとに各部署がそれぞれ対応している。
そうした各部署の対応は、全社的な視点で捉えると実は一貫性を欠いているのが実情だ。言葉は悪いが各部署は、それぞれが自部署のデータを読み込むだけに汲々としている。例えば「宴会場一覧」といったものを抽出し、それに対応しているのにすぎない。端的にいえるもの1つとして休日の管理の仕方がる。現状は、部署がバラバラに行っている。しかも、予約状況とは関係なしに、パターン化されたシフト体制のまま実施している。こうしたケースは、フロントなどによくみられる。同様に厨房なども1週間単位で休日を与えている。ところが接客部などは、2日ぐらい前に人員計画の最終を決めるなど、予約状況との整合という意味では、きわめて乱暴な泥縄的対応といわざるを得ない。いわば、会社の不備を従業員に付回している一側面さえある。
各部署がそうした対応に追われている現状は、視点を換えると抽出したデータの再入力や加工が必要であり、時間も手間もかかる上に入力ミスによるトラブル因子も避け難い。
そこで、根幹的な部分として「業務区分vs予約業務リリース」という発想が不可欠である。
ここで肝心なことは、業務内容をカテゴリー別に区分けするだけでなく、作業そのものに「順序がある」と明確に認識することだ。この順序が忘れられがちであり(あるいは認識の欠如)、本来は優先すべき作業が、次位の作業によって遅滞する本末転倒の実態があること、ゆえに管理者の役割が大きいことはすでに指摘してきた。とりわけ管理者は、そこでの順序を的確に把握した上で「予約オペレーション」を実行しなければならない。
作業順序は左図に示すとおりだ。1番目の予約受付では、電話をはじめ多様なメディアによってもたらされる予約の受付や変更に対応した入力作業、あるいは予約確認書の発送などがある 2番目のデータクリーニングと部屋割り作成では、月間や週間のデータクリーニングだけでなくプレ部屋割りや本部屋割りの作成などを行う。3番目の館内指示文書作成では、前日までの定期的な指示文書の作成ほか当日の看板作成もある。4番目の先行予約・受付管理では「先行予約解析」といった重要な作業であり、これが日々の予約受付や販促に反映されることで、「予約販売管理システム」として理想の形を生み出すことになる。
|