高山グリーンホテルで8回目の会議を終えた。上半期の決算も一定の成果を裏付けるものだった。私は資料を広げながら、私なりの総括をしてみた。それは、着手から3カ月ほど経過したときに実施した経営陣の座談会を、中間取りまとめとして改めて実施する下準備の意味もあった。また、今回は経営陣だけでなく現場長によるビフォアとアフターも俎上する。
構造改革に対する私の持論は、「モノの動き」「ヒトの動き」それと「意識の動き」といった3つの側面から捉えることにあった。同時進行をするか否かは別にして、最終的にはそれらが一定レベルで調和をみなければならないと考えている。ただ、3つの動きに対応するシステムはそれぞれ異なっているなって。
ここ高山グリーンホテルでこれまで展開してきたものは、「モノの動き」「ヒトの動き」にかかわるものだった。「意識の動き」には人事考課をはじめ多様な因子がかかわることから、現時点ではほとんど触れていないが、これを除いた部分ついては、当面の区切り点として一応の形がついたと考えている。
運営変更に着手した当初の難関だったスチュワードについては、完成度を喩えるならば「90%近い」といえそうだ。これについては「悪い話ではないので伝えておきます」という伝聞事項の裏話がある。「最初の時点では、話を何度聴いても意味が理解できなかった。必要な資材がそろい始めた時点でも、要領を得ないものが少なからずあったのだが、実際に作業の手本を先生から示され、それを倣っているうちに理解できた。そして、規定の作業が習慣化すると、ごらんのとおり見えすぎて困るくらい定位置での整頓が行き届いています」と、ある現場担当者が自信をもって誇らしげに語ったという
そうかも知れない。頭の中で理解しても実際の作業がスムースにいくとは限らない。まして、システムの機能とセオリーを聴いただけで、目的やそれによる結果をイメージすることは難しかったのだろう。さほど高度な要求をしているわけではないが、この辺りは作業者の力量にあわせたケースバイケースのモデルが、運営変更の定着を早めるためには必要なのか……と考えさせられた。
厨房については、とりあえず集中盛付・配膳に着手して「モノの動き」「ヒトの動き」に一定の形をつくりあげた。だが構造改革を完成させるには「仕込みのブラックボックス」を開封する必要があると考えている。私のいう「集中仕込み」が未着手状態にある。これはメニューをレシピ化することで、単純化・平準化・標準化を図ることだ。これを行うと厨房での人員の削減が可能になる。集中仕込みへの第一ステップとして仕込品収納冷蔵庫だけは置かせてもらった。
宴会サービスと食堂部については、接客運営面で目標の9割がたを達成できた評価できるようだ。とりわけ接客部の人員運営はほぼ満足できるレベルに達したと考えていい。今後の課題は、他部門を巻き込んだ全社レベルの効率化ということだろう。
(企画設計・松本正憲)
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