新 旅館が変わる赤字が消える その25
経営マネジメントの全体把握
Press release
  2004.01.05/観光経済新聞

【チャートの概括】 黒字経営を目指すニーズへの対応策として、「利益の確保」に視点を移したのが今号からの設問。全体の流れを勘案し、マネジメントの総論、実務、最終的な調整としての特割といった展開を試みる。今号の診断項目は、全体のマネジメントの把握を目指したものである。これは、年間フローをつくり、どのようにマネジメントしていくかといえる。まず、ベースを上げるには、いわゆる「団体から個人・グループ」へのシフトといった現実を捉える必要がある。それへの対処を具体的に展開していかなければならない時期にきているが、現状は囲い込みのような状況から脱却できずに、結果として単価の引下げを余儀なくされ、人数は確保できても利益が生み出せないでいる。診断項目については、1項目を除いて相応に実施している(点線)との回答を得たが、逐次状況の把握と経営解析の実態(実線)は、チャートのような姿が描きだされた。全体をとおして再検討が必要なことを物語っている。
【基本課題】 チャートの示す問題点は、客単価の高い施設ではあまり大きくない。稼働率を上げるだけで経営は成立するからだ。これに対して単価が低い場合は、より仔細な財務解析が不可欠となる。ところが解析が欠かせないケースにある多くの施設で共通するのが、「実績収益の状況確認」が大雑把だということ。単に売上高だけで経営解析を行っていないケースが多くを占めている。まず、自館の状況が診断グラフに描きだされた実施と実態のギャップにおいて、どの程度に位置しているか真摯に捉え直す必要がある。
【個別課題】 ここでの流れは、「企画会議」で年間計画を立て、最初に各種の企画をオープンマーケットに打つことになる。また、決め手は特定大口顧客団体への販促であり、その実績の確認を行ったうえで、「2カ月先行実績収益」とすり合わせをする形になる。結果が予算に対して未達であれば「予算達成是正措置」が必要になる。例えば特定大口顧客が不十分ならば、他の団体への販促を急がなければならないし、直前であれば「特割」をはじめとした各種の施策を講じて、予算達成を期すのが一連の流れ。そして、細かな財務解析やキャッシュフロー対応などの最終的な微調整が「実績収益状況の確認」といえる。同時にこの確認が、全体の流れにおける基本となる。また、診断チャートでへこんでいる「現地ツアー-開拓」は、いわば底上げ策である。「団体から個人・グループ」へのシフトに対応するうえで、自館の客層にみあった現地ツアーの開拓は欠かせない。要は、経営面からいえば、利益が出ているか否かが最も大きな問題であり、そうした認識のもとで全体を捉え直すのが急務である。
(企画設計・松本正憲)


(つづく)

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