【チャートの概括】 人件費適正化について、これまで5回にわったって診断結果を概括してきた。それらの総括として設定したのが今回の設問である。診断チャートは、一カ所を除いて概ね実施(点線)されており、実勢(実線)も回答数値よりは下回るものの、ほぼリンクしたパターンを描き出している。ここでの各項は各館の実情に合わせて必要に迫られて実施されているが、ローコストオペレーションを目指す上では、効果に結びついていないことを示しているそれを端的に示したのが、「相互ヘルプの人員」かかわる項目だった。回答も実勢も低い値で実態を示している。人件費の適正化で相互ヘルプは大きな意味あいをもつが、それに必要を見出していない状況は、結果としてローコストオペレーションから遠いことを意味している。ただし、その改善は単に相互ヘルプだけの問題ではない。他の項目がシステムとして機能しなければ達成できない。そのための認識として第一に求められるのが、業務の司令塔機能に対する認識である。
【基本課題】 ここでの設問を大別すると、チャートの「月間予約予想の作成」から時計回りに「募集団体の客数連絡」までが予約、それ以降の「当日フリー」から「団体入退館時間の確認」までがフロントに関連する事項。結論からいうと、当日までと明日以降の司令塔が予約、当日の司令塔がフロントという二つの司令塔によって業務は推進される。詳細解説はコンサル時など別の機会に譲るが、予約とフロントの諸対応を、システムとして確立させることが急務である。その際に一つのキーワードとなるのが「思いやり」である。個々人が担う業務は、その業務が終われば完結するのではなく、次につながる業務の狭間に介在するグレーゾーンともいうべき作業があり、それらを踏まえて次の作業へリリースする姿勢が欠かせない。一般的な作業だけでなく、司令塔からの情報伝達にも、そうした姿勢が欠かせない。
【個別課題】 月間予約予想の目的は、売上げや集客のバロメーターとして順調・不調などを判断し、さらに繁閑を予想して1カ月間の出勤体制を組むことにある。この時点で具体的なシフトは決定できず、次の週間データの作成に委ねられる。この流れは型どおりに捉えられ、当日の変更にも対処できている感じに受けとめられている。しかし、現場での対応は予備人員を抱えた上での対処であることを再度検証する必要がある。実勢調査では2割の予備人員が洗い出された。しかも、司令塔機能が不全であったため、タテ割りのセクショナリズムが直接間接に作用している。これでは相互ヘルプによる人件費の効率化などおぼつかない。改善されれば人件費2割減にもつながる。(企画設計・松本正憲)
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