新 旅館が変わる赤字が消える その14
業務リレーション発想が必要
Press release
  2003.09.27/観光経済新聞

【チャートの概括】 診断設問では、業務内容の見直しとしてA群=夜警の会計業務運営(会計業務教育プログラム、積算申送りチェック票、会計集計フローシートなどの作成と実施状況)、B群=施設の外注(点検者の確定、保守点検記録、施設管理マニュアルの整備、外注費管理など施設保守の効率的運用への取組み姿勢)に大別し、現状把握を行った。診断グラフは、両業務に対して一応の取組みを行っているが、会計集計フローシート作成や外注費管理など、設問の狙いであるローコストオペレーションの実践に欠かせないポイント部分が、かなり見過ごされた実態を浮き彫りにしている。
【基本課題】 両業務への取組み姿勢では、日常運営に欠かせない個々の業務は相応に実施しているものの、過去の延長線上で捉える域を脱していない。換言すれば、個々の業務内容自体は相応に認識・運営されているが、一連の流れの下で他部門との関連性を捉える視点が欠落している。マニュアルや一定のフォーム類を整備しても、それぞれのカナメといえる部分が未整備、ないしは意識されずに放置されている。こうした「リレーション」に対する発想・視点の欠如が、結果として欠陥システムを温存させている。したがって、業務内容を見直すローコストオペレーションの実践では、自社の実情に合致した仕組みづくりに向けて、業務全体を俯瞰する視点からの再チェックが不可欠。全体の流れと個々の業務に対する内容認識を、まず、経営側で問い直す必要があることを診断グラフは物語っている。
【個別課題】 夜警の会計業務運営を前提にしたA群での問題点は、昼間・夜間のフロント業務にかかわるリレーションにある。日常業務としては、診断グラフが示すように教育やチェックなどの仕組みを一定レベルで実施している。しかし、現実の領収書発行・最終の科目処理に至る一連の流は、会計担当者に大半が委ねられている。したがって、昼間・夜間の業務分岐を明確に捉えたフローシートの必要性に対する認識が乏しくなる。こうした現状下では、夜警に生じるアイドルタイムも「やむなし」で放置し、一方で人件費コストの肥大に嘆く。ナイトクラブの清算をはじめ、業務の多機能化につながる視点から、会計集計フローシートの作成が急がれる。同様に保守点検などの施設面でも、保守担当者のアイドルタイムが問題視できる。ここでも相応の対処を試みていることを診断グラフは示しているが、仮に外注化が一部で行われていても、形どおりの「外注費管理」ではなく、運営レベル全体を俯瞰したなかで相関的に管理されなければ、効果はあげられない。複数ないしは全体の業務としてのリレーションを図った体制整備が、ともに急務である。
(企画設計・松本正憲)

(つづく)

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