【チャートの概括】 フロントや用度などの事務部門にかかわる課題を「総合運営」の視点から捉えた診断結果は、黒字化を目指すローコストオペレーションとは全く相反する実相を浮き彫りにしている。これら部門の事務作業は、生産性の向上だけでなく、接客品位のレベルアップが運用上での要諦となるが、診断チャートはその実現が図られていないことを意味している。
【基本課題】 社内の諸システム(@業務マニュアル整備A管理者・作業者の業務分掌B管理・報告様式の整備C金銭勘定・物品管理の区分けD接客・事務の相関運営シフト等)はチャートが示すような状況だが、給与は「全国大会レベル」のものを支払っている。業務内容を「全国大会」「県大会」「地域大会」といったランクに区分けすることで、ローンコストオペレーションが可能となるが、診断チャートはそれを阻む社内システムの未整備を指摘している。業務内容を実情に照らして精査することが急務。
【個別課題】 業務マニュアルの整備に関しては、年功序列的な経験要素が作用し、作業手順などは「頭の中に入っている」といった認識がマニュアル整備を遅滞させている。結果として業務意識の低下を招き、給与にみあった生産性や接客品位に影響を及ぼしている。課題は早急にマニュアル整備を図ることにある。このことは、管理者・作業者の業務分掌にもつながる。それぞれが自分の作業は「頭の中に入っている」と考えてしまえば、業務分掌規定も必要なくなってしまう。しかし、そうした状況下では「総合運営」は実現しないし、ローコストオペレーションが成り立たない。例えば、人間が2人以上いれば、そこにルールづけがないとチグハグな動きになってしまう。診断チャートは、そうした状況が現実に起きていることを容易に推測させる。作業現場の実情を再チェックする必要がある。また、管理・報告様式の整備もマニュアルに関連してくる。仮に団体の到着遅延連絡がフロントに入った場合、一定の様式で記録をしておけば、関連する誰もがそれを見るだけで対応できる。それだけでなく、これらが未整備だと作業のブラックボックス化が生じて、作業者の思惑ひとつで「地方大会」の仕事に「全国大会」の給与支払うことにもなってしまう。金銭勘定・物品管理の区分けなどでも、5時間で終わる作業を8時間のワク内に引き伸ばすような現実になっている。接客・事務の相関運営シフトは、ローコスト運営につながる作業者の多機能化だが、いわゆるヘルプ作業には被害者意識がつきまとう。その弊害を取り除くには@業務運営責任はタテ割A人の運営はヨコ割りの「総合運営」が不可欠。そうした視点での見直しが必要。
(企画設計・松本正憲)
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