【チャートの概括】 ここでは情報管理について自ら情報発信をする場合の姿勢、旅行業者への対応、そして顧客管理やアンケートのあり方を捉えたが、これらを総括した診断グラフは、顧客そのものよりもエージェントや広告宣伝にウエートを置いた「顧客<エージェント」の集客姿勢がみてとれる。自ら顧客を管理して積極的な営業展開を行うのではなく、いわば他力本願的な姿勢が顕著に表れている。
【基本課題】 顧客情報の管理は、自社のファンを資産化し、リピートだけでなく紹介などの販促策を展開することにある。とりわけ「消費者主権」の時代にあっては、日々の利用客情報をデータベース(DB)化し、活用することが欠かせない。また、利用客情報の一つであるアンケートは、経営方針・品質方針に則ったサービスが行われているか否かの判断材料にもなり、評価結果を運営方針に反映させることで、顧客のニーズにより近づくことができる。これに対して現状は、独自のアンケートを行っているものの、分析・評価・活用のシステム整備が十分でないために、クレーム把握の域にとどまっている。「再利用意向の向上=顧客満足度のアップ」を測定するための設問設計、配布・回収方法などを含めた再構築が望まれる。旅行業者のアンケート結果に一喜一憂するだけでは、顧客情報の管理とはならない。
【個別課題】 情報管理の基本は、顧客に「適正な期待感」を醸成させることにある。広告など自ら情報を発信する場合、商標・キャッチフレーズ・写真・料金などの諸情報については、相応の配慮をしている。ただし、それらの取扱マニュアルや変更時のメンテナンスについては、十分とはいえない状況がある。自社の品質を適正に伝えることが、ニーズへ対応する第一歩として見直す必要がある。エージェント対応については、営業(集客)面では積極的に行われているが、情報管理の面で自社の正確な情報を常に伝える姿勢が十分とはいえない。ここでの情報は「自社→エージェント→利用客」という流れであることを再認識し、顧客がエージェントから伝えられる情報によって抱く期待感と、利用時のサービス内容にギャップが生じないようにする。そのためには、タリフ記入時のチェックと変更時の更新などに対応する情報管理体制の整備が不可欠。同様にエージェントの利用客のアンケート調査は、他社との比較で自社のレベルを知る有効なデータにはなるが、「自社→エージェント→利用客」の情報の流れに照らした時、どのような説明がなされたかによって期待感と評価に違いが出てくる。したがって、それらの評価を自社として解析する判断基準を定めることも必要となる。
(企画設計・松本正憲)
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