ニーズ対応の自己診断−黒字経営28
黒字経営を目指すニーズへの対応策として、本稿からは最終項目の「人件費25%運営体質の確立」に視点を移す。シビアな経営環境下におけるコストコントロールは、ニーズに応えることと経営面での成り立ち(黒字化)の両立を目指すことにほかならない。最終項として現下の最優先事項ともいえる「一定の人件費で経営可能な企業体質への変革」を捉える。
ここでは@部門別人件費比率の設定A目標達成への計画書作成B業績賞与制度C管理者業績給与制度D退職金制度など5項目があげられる。1回目はA群=部門別人件費比率の設定とB群=目標達成への計画書作成を考える。
【基本スタンス】
A群の門別人件費比率の設定は、部門別人件費のパーセンテージ設定であり、その裏付けとしてパート化による運営を含む人件費構造改革の発想が欠かせない。また、そうした構造改革においては、明確な目標設定が不可欠であり、達成へ向けた時系列の計画書作成=B群が求められる。
【施策内容】
A群で5項目、B群で2項目をチェックする。
A−@業務解析
各部門の全体を俯瞰した業務解析を行う。実際には作業項目(エレメント)とそれに関わる時間の抽出が主であり、そうした発想の有無と実行度合いがチェック事項。さらに、それらを踏まえた部門別の作業変更に向けた姿勢も問われる。
A−A社員・パート領域設定
それぞれの作業レベルを検証し、社員とパートの作業領域を明確に区分する。レベル区分の明確化とパートですむ部分に社員をあてていないかなどの実態をチェックする。
A−B業務分掌規定
領域の明確化だけでなく、各作業の責任範囲についても分掌規定として定める。分担作業をスムースに遂行するうえで、こうした規定の有無が要チェック。
A−C社員待遇の複数化
デフレ下にあっても会社・社員の相互メリットがある雇用体制の確立は欠かせない。したがって、従来の社員・嘱託・パートといった一般概念だけでなく、実情にマッチした雇用形態を自館の状況と勘案してつくりあげる姿勢(待遇の複数化)の有無がここでのチェックポイント。
A−D総支給給与の見直し
一定の人件費で運用するには、給与に対する社員の価値観を変える必要がある。具体的には、絶対金額を前提にした価値観であり、会社負担の法定福利費用を含む総支給評価を認識させる。その発想と実行が要チェック事項。
B−E人員採用計画
パート・アルバイトの採用を含めて、時系列的な計画書を作成し、計画にのっとった採用の有無が要チェック。
B−F人事評価制度の採用
人件費構造改革の推進では、労働意欲と帰属意識を高める施策も欠かせない。ここで必要となるのが部門別発想だけでなく社員単位の業績に応じた評価となる。人事評価制度の内容と実施方法がチェック事項。
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