ニーズ対応の自己診断−黒字経営27
原価計画の3回目は、A群=施設管理原価とB群=人件費原価に大別して考える。
【基本スタンス】
A群の施設管理原価は、館内諸旨説の維持や事務部門の運営原価にメスを入れるもの。これらの原価は、生産性の面で捉えると利益に直結する捉え方が難しいことから、ややもすると原価意識が欠如しがちである。しかし、大胆なスタンスで構造改革に対峙したとき、ローコストオペレーションの可能な要素を多く含んでいる。一方、B群の人件費原価は人件費の適正運用の項で多くのチェック事項を指摘したとおり、経営の最大原価科目であることから、改めて原価としてのポイントを整理しておきたい。
【施策内容】
A群で5項目、B群で3項目をチェックする。
A−@光熱費契約と運営
設備費用対効果の見直しは、原価の低減で大きな意味をもっている。光熱費に関しては、電気契約の見直しや省エネ効果の高いコージュネなどさまざまな設備運営の施策がある。設備機器の導入・運用と省エネ意識の徹底などを再チェックする。
A−A水道原価対策
光熱費と同様に捉えられるものが水資源に対する原価意識。実際には節水コマや自家水源などの見直しが、該当施策のチェック事項となる。
A−B保守契約の共有化
自館の保守を全て独自の契約で賄うと高額なものとなる。原価管理の概念を明確に意識すると、地域としての共有が模索できる。マスターチャンダイニングの手法を念頭に置いた発想の有無と実施状況が要チェック。
A−C保守人員の共有化
自社社員のみの保守費の低減には限界がある。旅館向上の意識を共有化・外部業者との連携による保守原価の低減を模索する。そうした発想の有無と実施状況がチェックポイント。
A−D事務部門のアウトソーシング
狙いは総務・人事部門のアウトソーシング。これらの部門は業務内容を精査すると多くいのムダが生じている。外部の専門的で高度な知識・技術を活用する大胆な構造改革で、原価を大幅に低減させることが可能。アンケートの集計解析なども、専門の知識・技術を活用することで、ニーズにより近づくこともできる。アウトソーシング意識の有無が問われる。
B−E人件費配分表の制定
原価管理の視点で人件費を捉えると、人件費の総枠を売上の増減に照らして維持できる配分表の作成が不可欠。そうした仕組みの有無をチェック。
B−F売上可変人件費運用
人件費配分の確実性を期すには、売上高に連動した可変人件費の仕組みを併設する。仕組みの有無が要チェック。
B−G雇用形態の見直し
原価意識を踏まえた人件費施策では、一般的な「給与社員」のほか福利厚生費を含む「受請契約社員」の創設も考えられる。社員の可処分所得の向上につながる重要事項であり、対応の有無が要チェック事項。
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