ニーズ対応の自己診断−黒字経営23
黒字経営を目指すニーズへの対応策として、本稿からは6番目の「社員・パート比率の見直し」に視点を移す。リストラによる人件費削減は、多くの企業で限界点に達したといわれているが、単に人数を減らすのではなく、社員・パートの比率を見直すことが不可欠要素となっている。宿泊業界では、パート従業員の活用が一般化しているが、パート化の位置づけをより明確化する必要もある。基本的には単純作業・標準化可能な作業は、パートを確保しやすい9〜15時の時間帯に集中させ、作業にかかわる運用人件費の効率化を図ることである。ここでは@各部門のパート化Aパートの安定確保Bパート定着化向上など4項目を捉える。1回目は各部門のパート化を考える。
【基本スタンス】
最初に必用なことは、業務の難易度を把握することである。これを踏まえて社員があたる領域とパートでこなせる領域を区分し、パート化比率を高めて人件費効率を向上させるのが、ここでの狙いである。
【施策内容】
7項目が中心施策。
@厨房のパート化
厨房作業は一般的な仕込みからはじまり、盛り付けに至るいくつもの作業工程を内包している。また、各作業において高度な調理技術を必要とするものと、そうでない作業が混在している。そこで、「高度な作業は社員・そうでない作業は一般的な主婦パート」に領域を区分することで、パート化が促進される。単に作業人員を減らすことや闇雲にパートを増やす人件費対策ではなく、必用な人数を確保しながら、厨房業務の全体を捉えた人件費施策を講じているか否かがチェックポイント。
A後方運営のパート化
料理の運搬をはじめ多くの後方作業は、いわゆる単純化された作業である。これらの全作業はパートでまかなえることから、社員は作業品質のコントロールと作業指示に当たる体制が求められる。パート化の業況がチェックポイント。
B事務部門のパート化
出納科目・買掛未払・売掛管理などは社員の主管業務となるが、入力・起票などはパート化できる。パート化への移行状況がチェックポイント。
C館内販売部門のパート化
この分野での社員は、運営指揮が業務の主体。接客要員の大半をパート・社内ヘルプなどの体制で運用しているか否かが要チェック。
Dフロントのパート化
朝・夕のフロントは社員主体、昼間の待機時間帯はパート化など実情に合致した運用体制の整備状況がチェックポイント。
E施設管理のパート化
館内点検や電球換えなどの保守業務について、パート化率をチェックする。
Fパート化計画進捗管理
上記@〜Eの各施策は、パートの採用やパート化率などを計画に基づいて実施する必要がある。進捗計画の策定と実施状況を記録し、適正に管理しているかがチェック事項。
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