続 旅館が変わる赤字が消える その38
能力給・業績評価給が不可欠 |
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ニーズ対応の自己診断−黒字経営21
黒字経営を目指すニーズへの対応策として、本稿からは5番目の「適正な人事評価」に視点を移す。バブル経済が終焉し替わってデフレスパイラルが進行するなかで、人件費の適正化を再検討する時代になっている。基本的には、人件費もデフレと連動する形が求められるはずだが、実際の改定は実施しにくい一面がある。最も大きな理由は、会社側に明確な根拠となる仕組みが確立されていないことが挙げられる。とりわけ個人の能力に見合った賃金評価の手法を確立し、それに基づいて能力給を決定することが欠かせない。同時に、単にデフレ対応だけでなく、企業の業績が好転すれば、それを反映させる業績評価給の制度も必要となる。能力給と業績評価給を組み合わせた給与制度が求められる。ここでは@業績評価A人事考課B個人面談C人材育成プランなど4項目を捉える。1回目は業績評価と人事考課の2項目を考える。
【基本スタンス】
1点目の業績評価(A)は、社員の業績評価をボーナスとして明確にするものであり、実際には利益の確保状況をリアルタイムに社内公示をすることが欠かせない。いわば社内営業の活性化ともいえる。これによってモチベーションを高める。2点目の人事考課(B)は、企業内における社員の活力を高めるのが狙い。このためには、社員個々について人事考課を行い、仕事での評価とそれを反映させた賃金を明確にしていくのがポイントとなる。
【施策内容】
AB合わせて6項目が中心的な施策。
A−@部門業績数値の設定
各部門の人件費配分比率の決定がここでは最初に問われる。これを踏まえて、部門責任者の業務評価に照らしながら、実績別に定めていく。実際にはサービス提供のレベルや営業形態をはじめさまざまな要因によって人件費配分率は異なるが、要は部門別に人件費配分比率を明確にしているか否かが第一に問われる。
A−A売上利益の社員還元
売上などの基本データに即した形で、各社員に利益配分をする仕組みの有無が要チェック事項。
B−B自己査定
人事考課を実施する際の基本的な事項であり、本人の意識と現実の業務実績のギャップを掌握するのが狙い。自己査定の方法を用いているか否かがチェック事項。また、ここでの査定結果は、人材育成の面でも活用される。
B−C人事考課制度マニュアル
等級による給与制度を実施するには、等級ごとに求められる査定事項の内容と該当する給与額を明示する必要がある。そのためのマニュアル整備状況がチェックポイント。
B−D考課委員会の設置
所属長の考課に加えて、客観的で適正な考課を行う考課委員会の有無がチェック事項。
B−E個人面談の実施 考課委員会の決定内容を個人面談で伝え、社員が決定内容を理解できる仕組みを、どこまで整えているかが要チェック事項。
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(つづく) |
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