続 旅館が変わる赤字が消える その35
年間を通じ計画性のある特割 |
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ニーズ対応の自己診断−黒字経営Q
「利益の確保」の2回目は「特割の設定」について。
【基本スタンス】
この項でテーマとする「特割」とは、客数の少ない日を「特定日」と位置づけ、営業目標の達成へ向けて訴求する販売手法である。価格破壊や安売りなどのデフレ追従と異なるのは、自ら「特定日の選定」と「特定日の販売単価」を設定し、経営目標を達成する有効な手段(実際に効果をあげているケースも出始めている)と位置づける点にある。また、特定日はオフ期・平日が中心であり、これまでも低価格販売を行っていたが、この販売手法ではオン期・休前日などの「多客期=割高」の印象しか消費者に与えていなかった。したがって、現状で「特割」の発想をもってないケースでは、一般的な安売り傾向と比較しながら実情をチェックし直し、対応策を講じる手法ともいえる。
【施策内容】
以下5項目が中心。
@割引率・月日の決定
特割計画を実行に移す上で最も基本的なことは、年間を通した経営目標を達成するために、客数の少ない日を特定し、販売目標に照らしながら割引率を検討・決定することにある。さらに、目標達成に必要な客数を確保するための「魅力ある割引商品」としての内容付加が不可欠。いわゆる「空気を泊めるよりは1円でも利益を出す」といった発想は広く認識されているが、実行に移されていないケースも多い。これは、発想の根底に年間の「営業目標」が明確に位置づけられていないために、経費バランスが整合しないのが一因。したがって、単なるデフレ追従型の安売りではなく、年間目標に照らした特定日・割引率の設定を行っているか否かがここでのチェックポイントとなる。
ADMリストの確定
販促の一環であるDMについては、抽出方法をまちがうと経費対効果で実効が得られない。確実に集客につながる客層・地域の絞込みとともに、効果率アップにつながる内容を盛り込んでいるかが要チェック事項。
B特割媒体の選定
雑誌、新聞・折込、インターネットなど訴求媒体は多様。個々の特性を把握した活用が欠かせない。雑誌は発行までの制作期間を考慮すると直前販売には向いていないが、新聞・折込と組み合わせることで早期告知につながる。年間を通じた計画の下では、こうした組み合わせ効果を発揮させることもできる。計画性と媒体選定の現状把握が要チェック。
C月間財務収益検証
特割の効果を必ず測定すること。この場合、集客人員と売上に対して、支出に関する比例費・固定費の影響を相関させた財務収益の検証となる。そうした発想の有無と実施状況がチェックポイント。
D費用対効果解析記録
集客に要した経費と販売高の解析データを蓄積することが、「次に打つ手」のベースとなる。記録とともに必要時に正確なデータ取出しが可能なシステム構築が問われる。
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(つづく) |
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