続 旅館が変わる赤字が消える その34
年間実績を踏まえた集客分析 |
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ニーズ対応の自己診断−黒字経営O
黒字経営を目指すニーズへの対応策として、本稿からは4番目の「利益の確保」に視点を移す。平成不況が始まって十余年が経過し、これに伴うデフレスパイラルの進行によって、現状を"常態"と認識したうえでの発想が定着化し始めている。換言すれば、バブル期のような右肩上がりの販売が期待できない以上、デフレ下であっても利益の確保できる黒字経営への構造転換が求められている。このため、デフレ状況を見据えた売上アップによる利益確保を考える。ここで必用なことは、従来にも増したシビアな販売管理であり、そのためには先行予約と宿泊単価を決算ベースで確認し、不足する利益を確保するための経営計画を明確に樹立し、その目標を完遂する仕組みづくりが不可欠である。実際には@先行予約の分析A特割の設定B予算分析会議と営業会議C社内カンパニー決算収支など4項目を捉える。1回目は先行予約の分析を考える。
【基本スタンス】
先行予約の分析は、売上・経費・粗利益をリアルタイムで確認し、黒字化を図るために必要な利益に対して不足分の対応策を講じるものといえる。
【施策内容】
以下6項目が中心。
@年間実績分析
計画を策定する上で基本的なデータは、これまでの実績を詳細に解析することから得られる。実際には、過去1年間の売上・客数を解析することになるが、その際に商品企画別の実績、あるいはエージェント別の実績などに細分化し、それぞれの傾向を把握することが要点となる。そうした分析・解析の実施状況や深耕度がチェックポイント。
A年間集客分析
実績を踏まえた当該年度の集客予測を分析する作業が、次に必要となる。客数予測では、実績分析と連動した諸項目を細かな「積み上げ方式」で積算することが第一歩。アバウトな予測では計画とはならない。集客分析を行ったうえで年間の予想客数を弾き出しているか否かがチェックポイントとなる。
B3カ月先行予約分析
積み上げ方式で算定した年間集客分析に対して、3カ月前の時点で先行予約の状況を、項目ごとに行う作業である。これは、比較的大きな規模での営業施策の修正と補強でもある。予約の対上がりが間際化していることから、難しい読みともいえるが、3カ月前時点での分析は欠かすことができない。行っているか否かが要チェック。
C2カ月先行予約分析
予約実績の大筋が確定した時点での空室状況の把握である。この時点での状況によって以下のDEと連動した販売が可能となる。
D特割用空室数決定
特割は平日に設定する割引価格であり、その対象となる客室数を決定し、放出する売り方である。成り行き任せではなく計画的に行っているが問われる。
E財務収益の検証
平日の特割価格の決定は、予算達成の財務収益の検証において2%誤差の範囲で行っているか否かがチェックポイントになる。
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(つづく) |
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