続 旅館が変わる赤字が消える その32
クレーム是正は正確な記録で
Press release
  2003.01.05/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−黒字経営N

 クレーム発生防止の3回目は、「クレーム記録と是正」について。

【基本スタンス】
クレームの要因としては、予期せぬものと予め予測できるものがある。前者は「思いもよらぬ原因」だが、それでも仔細に検証すると予測がまったく不可能なものではない。クレーム内容のすべての記録、発生原因と対応状況を確実に記録することで、クレーム発生のメカニズムを解析することもできる。したがって、これらの記録は発生防止と発生時の対応において不可欠なものである。逆の視点で捉えると利用客の満足・ニーズを高めることにもつながる。

【施策内容】
 以下6項目が中心。

@クレーム記録表の作成
 クレームなどの忌まわしいできごとは、できることならば記録に残したくないのが人の常だが、それではクレーム体質は改善できない。実際に起きてしまったクレームやアンケート用紙に記載された不満(クレーム)は、細大漏らさず記録しておかなければならない。それがクレーム記録表である。これは、内容だけでなくその時点での是正措置(どう対応して解決したか)も記載する。チェック事項は表作成の有無と活用状況の両面から考察する。

Aクレーム運営規定の作成
 クレームが発生しても大事に至らなければ隠蔽されるケースも少なくない。いわば、担当者レベル処理され、適正な検証レベルに上げられることなく済まされてしまうクレームである。そうした処理は、クレーム処理機能を阻害する要因にもなっている。ここでのチェックは、規定として防止規則を明文化しているか否かである。

B是正処置の記録と実行
 第一の項目と連動する事項であり、原因の解析・是正措置に対して、それを確実に実行するシステム・ルールが確立されているか否かである。

C対応マニュアルの作成
 クレームの中には館内の構造自体に問題があってその場では是正処置を講じたれないものがある。そうした場合のクレームについては、事前に想定した応答文書を作成し、クレームの発生を防ぐ手だてを講じる必要がある。

Dクレーム対応勉強会の開催
 細心の注意を払っていても発生してしまうクレームに対しては、危機意識を常に活性させておくことが欠かせない。そうした意味から定期的な研修会を実施する必要がある。また、その際のテキストとなるのがマニュアルであり、これについても是正措置などで更新した部分についての徹底を図る必要がある。したがって、勉強会の開催とマニュアルの徹底度など実情を把握するのがここでのポイント。

Eお詫状作成と発送
 クレームに対する詫び状はケースバイケースで判断される必要もあるが、アンケートに記載された不満事項は、明確に記銘されたものであればお詫び状でCS(顧客満足)を高める意味あいもある。ルール化と実効度合いが要チェック。



(つづく)