続 旅館が変わる赤字が消える その31
作業内容の確実なチェックを
Press release
  2002.12.21/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−黒字経営M

 クレーム発生防止の2回目は、「作業チェック表の運営」について。

【基本スタンス】
前回のマニュアル作成は、いわば底本であり、確実に履行されて本来の役割を果たす。しかし、さまざまな作業が錯綜して業務に追われると、現実場面では規定どおりに運ばないケースもある。それが作業ミスにつながり、クレームを発生させる要因にもなる。そこで、日々の各作業の運営状況をチェックし、記録として残すことが結果として新たなクレームを未然に防ぐことになる。こうした記録は、クレーム発生を防ぐABC分析に活用される。

【施策内容】
 以下6項目が中心。

@作業チェック表の作成
 作業の品質を確実なものとするには、作業項目別に「作業チェック表」を作成するのが第一の基本。運用は次項以降の諸項目によるが、このチェック表を作成しているか否かがまず問われる。同時にこの表は、クレーム発生時の対応においても、項目検索に活用できる。

Aチェック表記入者の任命
 協同で作業にあたる日常業務においては、チェック表の記入においても実状に則したルールが不可欠。その際の基本となるのが、作業項目ごとに「誰が記入するか」の記入者を任命しておくことが大原則。単に「責任者」といったレベルの暗黙の了解では、確実なチェックは難しい。ルールと責任者の明確化がチェックポイント。

B受渡回収箱の整備
 チェック表は、配布と回収、さらに上位の検証作業が確実に行われる仕組みなどを整備することで目的が果たされる。これは、生産ラインのように限られた時間内で終る作業とは異なって、「24時間稼働」ともいえる連続した作業環境下では欠かせない。責任者やルールの不在で紛失してしまえば、作業がムダになるだけでなく品質維持も難しい。確実な受渡回収体制が要チェック事項。

Cチェック表の確認・指導
 回収されたチェック表は、記載事項に不備がないのが原則。回収者は、各項目に不備がないかを確認し、不備が生じた場合はチェック記入者に指導することが欠かせない。これらは原則論であるが、原則を着実に履行する意識とルールの有無が問われる。

Dファイリング保存
 チェック表に限らず運営に欠かせない記録文書は、明確な形でファイル・保管しなければならない。この作業はややもするとなおざりになりがちだが、クレーム防止などでは特に重視する必要がある。ファイルのルール化と保管体制がここでのチェック事項。

C運営不備の罰則制度
 運営上の不備に対しては相応の罰則規定を設ける。これは、クレーム発生に対する処罰以上に、クレームの発生を未然に防ごうとする意識づくりに大きく関わる。日常の作業を標準化させる上では、チェック表の運営といった基本的な部分の確実な処理が第一歩。ルールづけと内容、履行状況などが問われる。



(つづく)