続 旅館が変わる赤字が消える その30
クレーム予防で満足度アップ
Press release
  2002.12.14/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−黒字経営L

 黒字経営を目指すニーズへの対応策として、本稿から3項目の「クレーム発生の防止」に視点を移す。黒字経営の維持には「お客さまの期待・ニーズに応えること」が不可欠であり、対極にあるのがクレーム。言葉の適正さは別にして「人気商売」の側面から品質を捉えると、利用客の満足度や好感度が誘客要因として大きな位置を占め、販売促進につながっている。クレームは、この人気を阻害する要因以外の何ものでもない。また、クレームは細心の気配りをしていても発生し得るために「防止する姿勢の徹底」は大前提だが、同時に「防止する仕組み」を考えなければならない。クレーム防止の理念を具体化する仕組みとして、作業マニュアルの整備、作業チェック表の運営、クレーム記録と是正、社員教育、クレーム事項の朝礼報告など5項目を捉える。1回目は作業マニュアルの整備を考える。

【基本スタンス】
サービス提供にかかわる諸作業は、単に高質であればいいわけではない。自館の品質方針に合致した形のものが、標準的な作業として常に一定のレベルで提供されることが前提である。作業者一人ひとりの気配りや創意工夫を否定するものではないが、サービス提供が複数の人間が一連の流れに参画して提供されるものであることを考え合わせると、品質方針に沿った標準的なサービスが、誰からも等しく提供されなければならない。その底本がマニュアルである。

【施策内容】
 以下4項目が中心。

@作業マニュアルの作成
 教育には、基礎的な部分と応用的な部分ではおのずと方法がことなる。前者は社内研修など集中的に行い、後者は日々の業務を遂行するなかで先輩から後輩へ受け継がれていくともいえる。教育で底本となるのが作業手順を短時間で正確に教え込むマニュアルである。教育期間の短縮化は視点を換えると人件費の削減にもつながる。教育への意識とマニュアル整備状況がここでのチェック事項となる。

A見直し変更の検証
 マニュアルで欠かせないのは、マニュアル自体の硬直化である。実状とそぐわない部分は絶えず改訂を加え、実態と整合させておくことが不可欠。身近なものとしては、アメニティなどの変更があった場合など、それを変更しておかなければ作業現場に混乱を招いてしまう。常に細心の状態に書き改める意識と仕組みの有無が問われる。

B更新変更の記録簿
 マニュアル内容の変更は、それ自体が記録として残されていなければならない。何をどう変えたかの記録が、同じことを繰り返えさせないためには必要。

C作業内容とマニュアルの確認
 マニュアルはどんなに完全を期しても、確実に履行されなければ意味がない。したがって、マニュアルどおりの作業が行われているか否かを定期的に検証するとともに、内容に齟齬があれば是正措置を講じなければならない。



(つづく)

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