続 旅館が変わる赤字が消える その23
電算化の実施と内容チェック
Press release
  2002.10.19/観光経済新聞

 

ニーズ対応の自己診断−黒字経営E

 業務内容の見直しの6回目は、業務運営の電算化。コンピュータによる諸管理は、すでに多くの旅館・ホテルで実施されているが、その能力を十二分活用しているとはいい難いケースが多々ある。電算化は企業にとって目的ではなく、企業の目的を達成する手段の一つに過ぎない。作業者の業務軽減も狙いの一つには違いないが、人件費の軽減など具体的な経営貢献がなければ設備投資・システム構築の意味はない。したがって、何を電算化し、どのような効果を導き出すかを明確にした対応が欠かせない。その意味から、業務運営上の電算化を再検証する。

【基本スタンス】
ここでの狙いは、現場事務の軽減化と指示事項の明確な伝達にある。そのためには、予約データから各部門での作業指示などの諸データが一元的に管理・加工される必要がある。

【施策内容】
 6項目が中心施策。

@調理システム
 厨房での電算化システムでは、原材料の発注や仕込みの指示などが機能の中心となる。また、原価計算や厨房人件費の管理なども不可欠な事項。これらへの対応状況が最初に問われるところだが、それ以上に重要な意味をもつのがレシピ化。インプットするデータの基本をどこまで適切に捉えているか、レシピ化の有無と処理状況が要チェック事項。

A配膳システム
 食器や備品の準備などの諸作業は、パート化で経営のスリム化が可能だが、パート従業員による作業では、確実な指示機能が不可欠。指示表を管理・作成する配膳システム、料理配膳を確実に行うための輸送カードづくりなど、総合的な見地で検証が必要。

B客室運営システム
 アメニティーをはじめ客室の整備、あるいは布団業務などが客室運営システムの対象。これらの作業指示は、電算化をすることでスムース・確実な実行が可能。発想と実施状態が要チェック。

C食器・備品管理システム
 これまで限られた従業員によって行われてきた食器の棚卸作業などの管理業務は、システム化することで誰もが効率的に実施できる。食器・備品管理システムは、そうした作業環境を整備するもの。ここでは、システムの有無や食器や備品の破損・紛失などの損耗率を的確に把握し、経営に反映させる姿勢が問われる。

Dシフト作成システム
 アイドルタイムの有効利用をはじめ、人員運営の多機能化を推進する上で、人員のシフト管理は基本的な条件の一つ。ここでは適切な作業指示を徹底させる方法として、シフト表の電算化度合いや運用状況がチェックポイント。

E労働管理システム
 デフレ経済や厳しい経営環境の下では、人件費などの経営要素を適切に管理・運用することが不可欠な要素になっている。1年間単位の変形労働における時間管理、リアルタイム労働管理など労働時間の管理・集計方法の整備状況が問われる。

(つづく)