続 旅館が変わる赤字が消える その21
フロント・用度の作業再検証
Press release
  2002.10.05/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−黒字経営C
 
 業務内容の見直しの4回目は、事務部門にかかわる課題を「総合運営」の視点から捉える。

【基本スタンス】
事務部門は、一般企業でのいわゆる事務職をイメージするが、ここでは、さまざまな業務が錯綜する旅館・ホテルのフロントや用度などの事務作業から整理をはじめてみる。これら部門の事務作業は、生産性の向上だけでなく、接客品位のレベルアップが運用上での要点となる。

【施策内容】
 以下5項目が中心。

@業務マニュアル整備
 マニュアルの整備は、各作業部門で欠かせないことがらだが、この部門においては「伝票の発生→処理方法→ファイリング」といった一連の流れに対して的確な処理が、とくに必要とされる。マニュアル整備は、ここでの作業を実務面でスムース化させるだけでなく、前段としての教育面で実施期間を短縮化するとともに、技術取得の早期化でも大きな意味あいをもっている。実際の作業における生産性の意識やマニュアルの完成度などが要チェック。

A管理者・作業者の業務分掌
 作業内容の掌握は、人件費の低減に直結するテーマであり、昨今の厳しいデフレ経済下では、とりわけ重視すべき事項の一つにも数えられる。具体的には、管理者がその任をまっとうしなければならない「高度な知識を必要とする作業」と、一般の作業者が行う「マニュアルに沿った単純作業」を明確に区分し、管理者・作業者の作業内容を的確に掌握することである。日常の諸作業では、これらが往々にしてボーダレス化し、管理者が単純作業に従事しているケースも決して少なくない。したがって、分掌の実態と同時に、実際の作業状況を検証するのが、ここでの要点となる。

B管理・報告様式の整備
 作業の処理状況は、絶えず把握できる社内システムの構築が不可欠。このため各作業のチェックリストは、整備すべきことがらの基本条件となる。当然ながらマニュアル化した管理方式が必要となり、さらにイレギュラーなことがらについても、処理状況を確実に報告させる仕組がなければならない。管理・報告にシステム的対応がチェックポイント。

C金銭勘定・物品管理の区分け
 ここでの要点は、タテ割主義の弊害を洗い出し、除去することが狙い。金銭勘定部門と物品管理部門は、しばしば錯綜しがちであり、結果として不用意に要員数を肥大させているケースが少なくない。そうしたムダを排除するために両部門を分離し、実情を検証する。

D接客・事務の相関運営シフト
 ポイントは二点。第一は、看板作成、テレビ番組表作成、メニュー表作成などの諸業務を事務部門で行っているか否か。第二は、フロント多忙時(9:00〜10:00)に、適切なヘルプを行えるシフト体制が整っているか。これらの再チェックが、ここでの要点。

(つづく)