続 旅館が変わる赤字が消える その20
接客要因の後方支援を分離
Press release
  2002.09.28/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−黒字経営B

 業務内容の見直しの3回目は、作業にかかわる諸点。ここではA群=接客部門とB群=後方部門に大別できる。
【基本スタンス】
A群は、利用客の時系列的な流れに沿って接客要員の時間差運営を行う。当該要員の多機能化を念頭に、後方作業をなくすのが狙い。B群は、後方作業の合理的な洗い直し。A群の接客要員を多機能化させて人件費効率を高めるには、B群の後方作業が大きく作用する。

【施策内容】
 A群で4項目、B群で6項目をチェックする。

A−@シフト表作成
 送迎・食事接待・館内営業の人員を多機能化し、人件費の低減とサービス向上が狙い。実際には時間別シフト表の作成が不可欠であり、そうした発想の有無と実態に即したシフト表の完成度が問われる。

A−A作業指示
 利用客の流れに合わせたシフト運営では、接客の総合指揮者が各部門に適切な指示を行える社内システムの存在が不可欠。システム構築と実際の指揮状況などがチェックの対象となる。

A−B作業進捗管理
 宴会場の準備・片付けなど異なる時間に発生する作業状況を管理する。動きのムダを排除する発想と実際の体制整備がチェック事項となる。

A−C入れ込み時間確認
 出迎えから呈茶へ至るサービスの品質を向上するのが狙い。ここでは、入れ込み時間を詳細に確認できるシステムの有無が問われる。

B−@作業時間解析
 後方部門における作業を、項目別に「総労働時間」と「客数」のレベルで相関的に解析するもの。人件費をベースに、作業に潜むムリ・ムダ・ムラを排除する姿勢の有無、時間解析システムの完成度合いが要チェック。

B−A運営クリニック
 後方各部門の作業が、それぞれマニュアルで指定したとおりに運営されているかを業務監査(クリニック)する。監査体制の有無とともに、定期的な実施をしているか否かなどがチェックの対象となる。

B−B当日予約の情報伝達
 部屋割りなどの指示・連絡体系をチェックするのが狙い。これらを確実に行える仕組の有無が要チェック。

B−Cシフト表作成
 A群と同様に後方作業においても適切なシフト表の作成が欠かせない。各部門の作業量に基づいたシフト表作成の有無が問われる。

B−D運営指導者会議
 作業時間解析や運営クリニックを基に行われる定期的な研修会。各作業責任者のスキルアップを目指したもので、そうした意識の有無と、実際に行っているかがここでのチェック事項。

B−E作業指示
 各業務に対する作業の指示について問うもの。この場合、当日の作業進捗状況をリアルタイムに確認できるシステムの有無や、定期的な作業の完遂など、トータルな視点での作業指示システムの整備は問われる。
(つづく)