続 旅館が変わる赤字が消える その19
食器損耗を左右する管理体制
Press release
  2002.09.21/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−黒字経営A

 業務内容の見直しの2回目は、食器・物品の管理について。

【基本スタンス】
管理の対象となる食器・物品は多様な種類と膨大な量を数える。とりわけ食器類は、メニューや季節によって使い分ける必要性から、「どれだけの種類」「正確な数量」となると、現状では「管理不能」に陥っているケースも少なくない。その結果、収納庫に死蔵される食器・物品も多々みられ、経営資源のムダが生じている。また、ある程度の管理がなされている場合でも、棚卸などは一部の従業員による特殊な業務とみなされがちで、そこに非合理性が潜んでいる。合理的に捉えると、手の空いている従業員を棚卸にあてるのがベターだが、パートや新人には不可能と慣習的に思われてきた。さらに、破損や紛失の実情把握と対策も、食器・物品の管理では大きな課題となる。したがって、管理システムの有無と管理状況を適切に把握することが、ここでの狙いとなる。

【施策内容】
 以下5項目が中心。

@マニュアルによる物品管理
 管理体制の第一歩となるのが、マニュアルの整備。確実な保管・整理をするためには、食器・物品の"基本台帳"を整備し、保管場所や数量を誰でも確認可能にする。そうした発想のもとで管理業務が行われているか否かをチェックする。

A棚卸
 管理で欠かせないのが月に1回の棚卸。確実に実施しているか否かが最初に問われる。これは、在庫数量を的確に掌握するとともに、破損や紛失などのロス率を把握し、必要に応じた改善措置を講じる目安ともなる。小さな損耗も積み重なれば大きなロスとなり、経営面への影響も少なくない。棚卸を容易化させるシステム発想の有無が要チェック事項。

B破損管理
 棚卸が月に1回なのに対して、日々の損耗を管理するのが「破損日報」の役割。チェック事項としては、日報作成の完全履行のほか、観点部署への回覧などをとおして「破損率低下」の意識を徹底させているか否かがテーマとなる。

C破損率減少会議
 日報や棚卸の結果に対してABC分析を加え、それを基にした会議の定期的な開催の有無が問われる。

D物品管理者の任命
 日常の損耗把握は、関係する全員が意識を共有するとともに、棚卸作業でも誰もが可能なシステムを整備する必要がある一方、各作業が的確に行われるためには、一定の責任体制のもとで管理責任者を選任しておくことが欠かせない。管理責任者の任命の有無と同時に、任命された者が役務をどこまで果たしているかが要チェック事項となる。

(つづく)