続 旅館が変わる赤字が消える その18
厨房のムリ・ムダ・ムラ排除 |
Press release |
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ニーズ対応の自己診断−黒字経営@
ニーズへの対応は、目指すところ売上のアップであり、黒字経営である。これまで、販促への対応と品質管理を中心に自己診断のチェックポイントを列挙してきたが、本稿からは、視点を内部の仕組みに向けてみる。いわば、黒字の出る仕組みの下で健全な経営体質が確立されていなければ、ニーズに対応すべく企図されたものも、所詮は絵に描いたモチに過ぎない。
基本的には、@業務内容の見直しA人件費の適正化Bクレーム発生の防止C利益の確保D適正な人事評価E社員構成F原価計画G人件費を視座に据えた運営体質などがテーマとなる。このうち業務内容の見直しは、日常の作業に潜むムリ・ムダ・ムラを排除して品質レベルを一定に保つのが狙いであり、作業の単純化・平準化・標準化を目指す。具体的な作業内容では、厨房作業をはじめ食器・物品管理、接客や後方作業、施設運営、事務・会計、電算化など多岐にわたる。1回目は厨房作業の見直し。
【基本スタンス】
厨房作業でのチェックポイントは、集中化と標準化・単純化の実施状況を把握し、そこに潜む非合理性を改善することにある。
【施策内容】
以下7項目が中心。
@メニューのレシピ化
ここでの狙いは、原価管理の徹底と作業者の労務管理が適正に行われているかを把握する。原材料や作業時間の積算などがメインとなる。したがって、メニューのレシピ化が欠かせない。
A食材の保管・管理
いわゆる兄貴管理(食中毒予防の観点)や食材管理の確実性をチェックする。多くの場合、セクション別の収納方式がとられているが、これを原料・仕込品・盛付前食材管理方式に改革する方向での検討がなされているか否かも要チェック。
B運営ハンドブック
いわゆるマニュアルの有無である。内容は、メニュー変更に基づく各食材の管理方法や賞味期限の指示など、各担当者が順守すべき事項を適正なマニュアルとして整備・配備しているかが問われる。
C料理提供プログラム
料理提供にかかわる行動(作業手順)の明確化。これが定められていないと、調理長の目指す料理評価が達成できない。具体的には、盛付から提供までを5W1Hに照らして検証する仕組みの有無と徹底度がチェックポイント。
D料理運営の指導会議
料理提供プログラムの完全履行を目指すものであり、メニューの説明から器の置き方に至る詳細な実践指導を行っているか否かである。テスト実施の有無も問われる事項である。
E当日予約の情報伝達
情報伝達の確実性とムリ・ムダ・ムラのない体制か否かを問うもの。とりわけ、予約の変更やフリー客への対応・別注料理への対応などが要チェック。
F残品の管理・整理
当日盛付食材や盛付後の料理の保管場所が、一目でわかるか否かをチェックする。ダのない食材管理を行うとともに、確実・安全の面でも欠かせない事項。
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(つづく) |
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