続 旅館が変わる赤字が消える その15
防犯は「品質条件」の一つ
Press release
  2002.08.24/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−危機管理A

 危機管理の2回目は防犯について。

【基本スタンス】
 防犯は、自社の資産だけでなく、利用客の資産と安全を護る二つの側面をもっている。その意味では、ニーズに対応した品質管理の面からも大きな課題の一つとして捉えねばならない。また、理念としてではなく、現実に即して実施・対応すべき最低限の責務である。防災と同様に、予防が最大の眼目ではるが、万一の際の「最善の策」を講じておくことが品質管理の面では重要なことがらである。

【施策内容】
 以下6項目が中心。

@全社防犯マニュアルの作成
 犯罪行為は、いわば非日常的な人為的事柄であることから、日常生活者にとって埒外なことが大半である。いわば、思いもよらないケースで突きつけられる。したがって、管轄警察署の指導をうけるなど、専門的な立場からのアドバイスをもとに、防犯の心得、防犯の手順、そして万一の際の対応策などを検討し、マニュアル化を図り、全社員に配布・意識の徹底を図る。マニュアル作成と教育実施が要チェック。

A鍵類保管責任者の任命と管理の徹底
 鍵類(マスターキー及びすべての鍵)については、多くの場合に保管場所や保管方法が定められている。これは最低限の要件だが、実際には管理責任の意識が乏しく、運用面での杜撰さが目立つケースが多々ある。鍵類管理責任者の任命と同時に、使用記録の徹底が運用面で欠かせない。これらを責任者の任命と管理・運用を徹底させているか否かである。

B警備・夜間監視の委託
 顧客に安全な環境を提供す意味で館内外の警備は、日中・夜間ともに完全を期した体制の整備が求められる。不審なことがらを発見した際の連絡・報告・対処にかかわる館内体制の整備はもとより、従業員だけでは対処の難しい夜間警備、あるいは遠隔監視業務など専門性の高い分野については、警備会社など専門の業者への委託など含む体制整備が不可欠。また、それらについて現状を再点検することもチェック事項の一つとして大切。

C貴重品管理案内の徹底
 顧客の所持品管理は、基本的に顧客の自己責任が原則である。この点を明確に案内するとともに、安全が保障される金庫など必要な設備を準備する必要がある。案内の徹底と必要な設備の設置、およびそれら設備の日常点検の実施なども要チェック。

D日常の情報収集
 犯罪関係者、暴力団関係者など、一般の利用客に危害や不快感を与える可能性のある者の入館を制限する必要がある。ただし、そうした対応はきわめて難しい。基本的には、関連する情報を日常から収集しておくとともに、万一の際の必要な措置を、管轄警察署のアドバイスなどを受けながら事前に講じて置くことが欠かせない。

E盗難保険など必要な保険への加入
 万一の盗難に対応できる必要な保険への加入は原則。時代に対応した補償額であるか否かもポイント。


(つづく)