続 旅館が変わる赤字が消える その14
防火・防災は日常が肝心
Press release
  2002.08.10/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−危機管理@

【概略】
 ニーズに応える品質目標について、理念から情報管理までをみてきた。これらは、いわば顧客との直接的な関係にある。一方、間接的だが欠かせない管理分野として「危機管理」がある。旅館・ホテルでは「安全・清潔・快適」が基本要素であり、なかでも「安全」は、品質管理の要諦でもある。アクシデントが発生した際の適切な対応は、日常の危機管理意識によって左右される。売上と直結しにくい分野であるが、企業ガードの意味あいからも自己診断の徹底と適切な対処が不可欠。以下、@防災・防火A防犯B事故予防・病人対応C衛生管理について順に検証する。今回は防災・防火。


【基本スタンス】
 火災事故の恐ろしさは改めていうまでもない。日常の予防がいかに大切かは、すべての経営者が理解している。それでも、人間のやることに絶対があり得ない以上、万一の事態は不幸にしてあり得る。したがって、予防だ大前提であるのと同時に、万一の際の「最善の策」を講じておくことが品質管理の面では重要なことがらである。

【施策内容】
 以下8項目が中心。

@全社防火・防災マニュアル作成
 マル適取得や法定点検の実施は当然だが、全社員が日常の防火・防災意識を高めるための対応マニュアルの作成は不可欠。同時に全員配布と内容理解の徹底姿勢が要チェック。

A防火管理者任命・自衛消防隊組織
 防火管理者を任命し、自衛消防隊を組織して管轄消防署に届けるには、いわば基本ルール。大切なことは、防火管理者をはじめ、各人に与えられた任務を周知徹底させているか否かである。

B緊急連絡網の作成と徹底
 自衛消防隊が万一の際に機能するためには、緊急時連絡体制の整備が前提条件となる。マニュアルへの記載とともに、連絡網の途切れる箇所がないかなど、実状に照らしたチェックも必要。

C非難経路の確保と案内の徹底
 非難経路については、日常から確認し、徹底的に把握しておくことが肝心。宿泊客への案内(非常灯、非常口などの説明)も基本ルール。また、非難経路に障害をつくらないことも絶対条件であり、日常のチェックに加えて、発見時に撤去など速やかな対処方法が講じられているか否かの問われる。

D食料・資材の準備
 日ごろは関心の薄い分野であるが、非常用の食料・飲料水の備蓄、非常灯、医薬品、応急救助用具、通信機器、携帯懐炉、簡易トイレなどの準備と定期的なチェックも重要。

E避難訓練の実施
 これも防火・防災の日本ルール。年に1回は全社員の参加にとる実施が必要。

Fコンピュータのバックアップ
 営業・予約・顧客などのデータは、万一に備えてバックアップをとるのが常識。保存先も検討を要する。

G火災・地震保険への加入
 必要な保健への加入は原則。証書類の保管方法も要チェック。

(つづく)