続 旅館が変わる赤字が消える その11
顧客情報をDB化し活用
Press release
  2002.07.20/観光経済新聞

ニーズ対応の自己診断−情報管理B

【基本スタンス】
 顧客情報の管理は、その必要性が指摘されはじめてから久しい。景気の低迷が続き「消費者主権」の時代にあっては、以前にも増して重要性が高まっている。自館のファンを資産化し、リピートだけでなく紹介などの販促策が欠かせないからである。そのためには、得られた顧客情報をデータベース(DB)化し管理することが第一歩。

【施策内容】
 以下5項目が中心。

@顧客情報の収集
 住所・氏名・年齢をはじめ宿帳に記載される諸データは、それ自体が重要な顧客情報である。その情報の重要性を認識する姿勢が欠かせない。このデータに、客室係が得た情報、利用者アンケートの回答、ファンクラブなどの諸情報を組み合わせることで、顧客の実情により近いデータベースが構築されていく。情報収集とは、顧客と接するさまざまな機会を「情報チャンネル」と捉え、アンテナを張りめぐらせておくことでもある。そうした認識の有無が要チェックである。

Aデータ管理
 多様なチャンネルから得た顧客情報は、活用を前提に整理・集約するシステムが不可欠である。それがないと、せっかくの有益情報が活用されないまま散逸してしまう。管理のためのコンピュータシステムと同時に、適切な管理者を置くことも欠かせない。また、最近では、個人情報に対する認識が高まっていることから、顧客のプライバシーを保護し、情報を社外へ流出させない管理体制も大切である。さらに、実際面では顧客をランク付けして販促に活用するだけでなく、重要顧客には相応の対応をするなど、顧客への利益還元といった発想も必要。

B顧客検索と該当者抽出
 DB化された情報を活用するためには、顧客検索の容易なシステム構築が欠かせない。シンプルであるのと同時に適切な抽出も可能でなければならない。こうしたシステムであれば、例えば3歳の女児がいる家庭であれば、七五三企画の販促に2度(3・7歳)活用できる。要は、その家庭全体だけでなく、例示した「3歳女児」などの該当者が抽出できるシステムであることも大切。

C効果測定
 顧客情報に基づく諸施策をはじめ、なにごとに置いても効果を測定できるシステムであることが欠かせない。顧客情報を活用した販促であれば、実施に対する反応・効果測定を行い、それがデータベースにフィードバックされなければならない。その仕組が要チェック。

Dデータ削除
 データ管理の基本の一つとして、不要情報の削除がある。「いつか使える」と残したものが、往々にして使用されないまま放置されるケースがしばしばある。そうした情報は検索に負担をかける。DMの未着やリピート率をはじめ、自館の実状にあったルールで、これらの情報整理を月毎など定期的に行うことも忘れてはならない。削除ルールの有無も問われる。

(つづく)