続 旅館が変わる赤字が消える その9
「適正な期待感」の醸成を |
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ニーズ対応の自己診断−情報管理@
サービス理念の自己診断(前号)を踏まえて、情報管理の現状を捉えることにする。理念がどんなに素晴らしいものであっても、適切な手法でアピールしなければ何の意味もない。というのも顧客満足の一つは、事前の期待と実際に提供されるサービスとのギャップだからである。そのためにはサービスのレベルアップも当然だが、同時に適正な情報をお客さまに伝えることが欠かせない。そこで必要となるのが「情報管理」の意識である。基本的には、自ら情報発信をする場合の姿勢、旅行業者への対応、そして顧客管理といった三つの視点から診断を加えてみる。
【基本スタンス】
一番目の情報発信では、広告・パンフレット・ホームページなどが対象となる。自社で作成するこれらは、情報の正確さが最大のポイントである。この正確さに欠陥があった場合、極端な例としては、誤認した利用者が「消費者契約法」などに基づいて申し出た結果、全額返金だけでななく損害賠償につながるケースさえある。したがって情報管理は、販促面だけでなくさまざまな意味合をもっている。
【施策内容】
ここでは、以下の6項目が中心となる。
@商標の取扱 いわゆるサービスマーク(商標)は、他との区別を図る第一歩である。利用者の誤認を防ぐことであり、類似商号から自社を守ることである。そのためには、サービスマークの登録が欠かせない。
Aキャッチコピー・説明文
自社の説明では、「真心のおもてなし」「くつろぎの宿」をはじめイメージ先行の場合が多い。利用者に正確な内容を伝え、適正な期待感を醸成するには、「他社との違い」を明確に打ち出した文面が必要である。
B写真
ビジュアル効果の高い写真は、それ自体が内容を伝える「重要な情報」であるとの認識が大切。見栄えのいい特別室の写真を強調した掲出方法では、それが宿泊に供される客室として誤認されるケースがある。期待感を歪めてしまい、結果として失望させることになる。また、リニューアル前の写真を掲載したままなのも同様の誤認を招く。写真の差し替えを「計画的」にしているか否かが要チェック。
C料金表示
表示内容の中で関心の高いものが料金である。ここでのポイントは、曖昧さを排除した表示方法である。しばしば見かけるものに「〜(から)表示」がある。表示においても過度な期待感を抱かせるものは禁物。
Dパンフレットの作成計画と管理
一般に印刷コストを優先した在庫過多の傾向がみられる。しかし、施設やサービス内容の変更などによって事実誤認を誘発させることもある。最低限、「年ごとの見直し」を見据えた計画性が求められる。
E電子メールでの予約受付
インターネット上のホームページは、今日のニーズとして不可欠なものとなってきた。ここで留意すべきは、毎日の情報更新、メールへの回答は24時間以内などの基本的な対応とともに、予約管理に際しては、客室管理の自動化ソフトの導入などが必要。
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(つづく) |
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