続 旅館が変わる赤字が消える その5
売店売上へ商品チェック
Press release
  2002.06.05/観光経済新聞

売上アップの自己診断−付帯売上A
 
旅館・ホテルの売店は、多様な商品の販売が可能である。わゆる観光土産品だけでなく、身近な日用品まで品揃えに加えることができる。観光土産品に特化して販売方法や品揃えに独自性を発揮し、総消費額の拡大に寄与させているケースもあるが、多くの場合は販売チャンネルとしての活用が十分とはいえない状況にある。

【基本スタンス=売店の売上アップ】 
ここでのテーマは、収益部門として再認識した取り組みが必要である。

【施策内容】 
売店施策で中心となるのは、以下の5項目である。

@オリジナル商品開発
 観光旅行での土産品購入は、一般に減少傾向なのは否めないが、単に購入意識の低下がすべての要因ではなく、意欲をかきたてる商品の欠乏が、この傾向に拍車をかけている。消費者が旅行先で求める商品は、次項の地域限定版に代表されるが、さらに積極的な姿勢を模索すると、「その旅館でしか販売していない商品」といった位置付けができる。前回の宴会販売で例示したオリジナルブランドの酒類もその一つにあげられる。また、単品だけでなく複数の商品をセット化することで、他では買えない商品を誕生させることもできる。まず問われるのは、そうした発想の有無である。

A地域限定版
 その名のとおり「地域を代表する商品」であり、基本的なニーズにも合致している。具体的には「その地域でよく売れている商品」だが、こうした商品の仕入れは難しい場合もあるが、品揃えに加えることで生じる相乗効果は見逃せない。俗に「客寄せパンダ」の言葉があるように、それに目を惹かれて寄ってきたお客が、他の商品を連鎖購入するケースはきわめて多い。この場合のチェック要素は、そういった意味での仕入れに心掛けているか否かである。

Bコンビニ商品
 日用雑貨として日々必要な商品である。これらは、客層によって異なることから、実情に則した品揃えがポイントとなる。また、客室備え付けアメニティーをグレード別に可変させた場合などは、売店商品でそれらを補完することも一考できる。

C商品の入れ替え
 売れない商品の陳列は、限られたスペースを有効に利用する意味合いからの不適切性だけでなく、購買意欲の減退にもつながってしまう。売れない商品の陳列は粗雑になり、極端なケースだと「埃のかかった商品」になってしまう。かりに「たら・れば」の微かな期待感でこれらの商品を並べているとしたら、販売データなどに基づいて返品(あるいは撤去)することが、売店の活性化と収益性の向上に不可欠である。

Dコスト意識
 売店販売だけでなく、すべての業務に共通している事柄でもある。基本的に「お客の要望」をかなえるには「コストがかかる」わけで、これまでは「コストがかかるから不可能」と諦めていたことも少なくない。ところが、昨今のデフレ環境下では、諦めていた事柄でも可能な方法を見いだせる要素が出てきている。肝心なことは、各担当部署が適切なコスト意識をもって業務にあたることであり、その意識が希薄だと状況の変化に対応できない。コスト意識をトップから末端の担当者まで、どこまで認識して業務にあたっているかをチェックすることが欠かせない。(企画設計・松本正憲)


(つづく)