続 旅館が変わる赤字が消える その4
宴会中の飲物売上がカギ
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Press release |
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売上アップの自己診断−付帯売上@
宿泊をはじめ旅館・ホテルの施設利用に伴う付帯売上は、宴会・館内飲食施設(クラブ、スナック、他)・売店などに大別できる。消費単価が低迷する現状下では、ここでの売上アップが黒字・赤字の分岐点として大きな意味合をもっているともいえ、看過できない重要項目である。
また、筆者が提唱している「平日特割」のサービス商品を販売した場合に、宿泊単価の廉価性が付帯消費を誘発し、実施した旅館・ホテルでは実際に総消費額のアップに大きく貢献している。つまり、従来は付加的要素と思われがちであったものも、基本的な取組み姿勢を明確化し、売上トータルの視点から再検討することで利益ファクターとして重要なポイントを占めることになる。以上のような観点を踏まえて、シチュエーションごとの取組状況を自己診断し、必要な改善を試みることがここでは肝心なことである。今回は宴会中の飲物、次回は売店売上について紹介する。
【基本スタンス=宴会中の飲物売上アップ】
ここでのテーマは、宴会の流れに沿って効果的な増売策を講じることが大切な
ポイントとなる。
【施策内容】
販売施策で中心となるのは、以下の3項目である。
@最初の30分
宴会運営でもっとも重視しなければならないのが、開宴からの30分間である。このタイムゾーンは、当然ながら料理運びが中心となるが、お客の側からみると宴会の盛り上がりを左右する重要な時間帯でもある。 したがって、この間にアルコール類を切らさないよう細心の配慮をする必要がある。繁忙タイムでもあり、実際のデータ収集は難しい一面もあるが、宴会時の付帯売上を考えるうえでは要チェック項目である。まず、そうした意識をもって業務にあたっているか否かを自己診断する必要がある。
Aオリジナル酒類の販売
ここでは、地域や施設限定のオリジナル酒類を提供しているか否かがカギとなる。こうした商品には、数年前から話題となっている地ビールをはじめ、施設限定のボトリングをしたオリジナル仕様の地酒、ワインなど枚挙にいとまがない。これらは、単にモノ珍しいだけでなく、「旅先ではその土地のモノを口にしたい」とする消費者のニーズともきわめて合致している。 実際の展開では、地域の状況などを勘案して仕入など個々に対応策を講じることになるが、大切なことは宴会時増売策の一環としてオリジナル酒類の開発が不可欠とする認識であり、そうした観点に立った現状のチェックが、当面の課題となる。視点を換えれば、本来売れるべきモノ(ないしは売る必要のあるモノ)を、商品としてラインナップさせて確実に提供しているかが問われる項目でもある。
B高価商品の販売
高価商品とは、ウイスキーのボトルや冷酒4合瓶をはじめ単価の高いアルコール類を想定している。これらが最終的な消費額アップに貢献することは改めて説明するまでもないし、実際の販売リストにも加えられているはずである。肝心なことは、積極的に売る姿勢を明確化し、現場に徹底しているか否かである。
以上の3項目が宴会売上のアップで最初に留意すべき点である。以下、次号へ。(企画設計・松本正憲)
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(つづく) |
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