続 旅館が変わる赤字が消える その2
年間利用者数の目標設定を |
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売上アップの自己診断−集客バランス
宿泊・宴会売上のアップへ向けた戦略の第2回は人員政策。
【基本スタンス】
ここでのテーマは、年間を通した「利用人員」の目標をいかに設定するかである。これは、利用形態ごとの集客目標を定めるとともに、ニーズに沿った接遇をハード・ソフトの両面で展開するうえでも大切なポイントとなる。
【政策内容】
価格政策で中心となるのは、以下の6項目である。
@シーズン毎人員目標
前回の価格政策でも示した前年および過去数年の動向データが、目標を設定の基礎となる。また、景況や特定イベントなどの諸要素を勘案したシミュレーションも、経験則や勘ではなく基本は実績データとその分析からスタートする。したがって、データが単に残っているだけではなく、照会・検索の容易さなども大切なポイント。
A客室タイプ別目標
ここでは客室を「団体用」と「個人用」に区分し、それぞれについて1日の目標を設定する。これまで、客室のタイプは、おおむね価格帯などを基準に決めていたが、年間を通した人員目標の設定では、用途別区分が算定上で欠かせない。極端な例では、客室ごとに年間の目標人員を定めることが、旅館・ホテルの不動産部門としての発想からは不可欠。したがって、全体の目標ではなく、客室個々の目標の積算として全体を捉える姿勢が、ここでは問われる。
B大口団体別集客目標
稼働率を考えるうえで大口団体は、全体の指数を大きく変化させる要因となっている。ただ、単価面では小間客に比べると低くなるのが常であり、稼働率と売上とのバランスを念頭に置く必要がある。具体的には、大口団体の年間目標を設定する際に、月間と1日のそれぞれについて「最大人員」を設定する。これを明確にしておかないと、年間の平均単価(前回記述)との整合を図れなくなってしまう。そうした細部の取組み姿勢が自己診断のカギとなる。
Cリピーター集客
いわゆる顧客対策としてこれまでも実施されてきた点である。顧客度のレベルに応じて年間1回あるいは複数回を目指した施策を講じる。DMなど一般的な販促手法のほかに、独自の方法の有無が問われる。
D設備投資
人員施策と同列ですべてが把握されるテーマではないが、客室提供を基本に据えた不動産部門の視点で捉えると、「お客さまにとって魅力ある施設、不足している施設」との視点から設備投資が問われる。ここでの人員目標は「施設を拡大したから人員目標が増える」といった発想ではない。従来の発想は本末転倒ともいえ、それが結果として赤字体質につながっていた。人員目標の原点を問う発想の有無である。
E料理献立 原価率とかかわる問題であり、人員目標に立脚した長期的スパンで捉えられる。例えば、地場産品を取入れたメニュー構成は、消費者のニーズに合致するだけでなく、地産地消による地域への経済波及効果など多くのメリットを内包している。安定供給・安定仕入のベースは、人員目標にあるとの発想もこれからは欠かせない。(企画設計・松本正憲)
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(つづく) |
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