「旅館経営マニュアル」 その32
「審査チェック」の要点とは |
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ISO認証取得へ向けた一連の流れの中で、最終的な審査までの概略を紹介した。そこで、マニュアルづくりの具体的なポイントへ入る前に、これまで述べてきた審査応対の要点を整理しておきたい。要は、審査でのチェックとそれへの応答は、ISOの認証取得が社内全員のコンセンサスになっているか否かを計る大切な「物差し」とも考えられるからである。
本審査では、各部署で行われている業務の内容がチェックされる。当然といえばそれまでだが、問題は、その業務の作業手順が定められており、さらに文書化されているかどうかである。つまり、日常の流れのなかで普通に行ってきたことについて、改めて「手順はどうか」と問われるようなものである。
このとき、各人各様のバラツキがあるようでは、一定の品質が保てないということにもなる。したがって、定められた手順と文書化が必要になるわけだ。そして実際の業務が手順どおりに遂行されているかもチェックの対象となる。
また、本シリーズの中でもとりあげた「責任」についても一定のチェック対象となる。責任の所在が曖昧ならば、定められた手順などが確実に履行されているか否か判断できなくなるからである。
そして、経営者の定めた「品質方針」が実際の作業現場で徹底されていることも重要なチェックポイントになる。
こうしたチェックに対して、明快に応答できることが本審査での要点といえる。この時に大切なことは、単に明快な言葉だけでなく、それを裏付ける材料が必要だということである。いわゆる「記録」である。文書化されたそれが「証拠」として残されていなければならない。
もちろん、前号で述べたように、応答に虚偽があってはならない。また、「たまたま今は…」というような弁解や反論なども無用である。品質を維持する方法を定めた以上、それが実行されていなければ、どんなに弁明したところで、品質方針が徹底されているとはいい難いことになる。
さらに、チェックの対象に明快な答えができることは、視点を換えれば「何を聞かれているか」を判断することでもある。いわば手順などを本当に理解しているかどうかである。大雑把ではあるが、これらが審査チェックでの要点である。
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登)
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(つづく) |
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