「旅館経営マニュアル」 その31
審査員は「適切で明快」求める |
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前二回にわってISO認証取得へ向けた作業のアウトラインを紹介したが、今回は、申請から審査までの概略を整理しておきたい。
前回までに述べた第一段階から第二段階へ移行したころに、審査登録機関を選定するのが一般的である。つまり、社内体制の大枠がみえて、運用のスケジュールが固まった段階である。「いつまでに認証取得を」といった目標設定も、以後の諸作業を進める上で欠かせない。
まず、審査登録機関の情報を集め検討をするわけだが、日本の認定機関(JAB)や海外の認定機関の認定をうけている審査登録機関であっても、すべての業種を審査できるとは限らない。実際には、そうした登録機関へ足を運び、審査範囲や条件など確認する必要がある。旅館・ホテルに関する実績を知ることも選定には欠かせない。
審査登録機関を決定すると、次に品質マニュアルや手順書などの書類を送付して、事前の文書審査を受ける。この段階で不適合な部分があれば、それを是正するわけだ。さらに、審査員の事前訪問を受けて、スケジュールなどの打ち合わせ行い、予備審査・本審査へと進むわけだ。
予備審査は、手順をはじめ運用状態などが本審査と同様にチェックされることから、いわば本審査のリハーサルといえる。内容的には、自館で実施した内部監査よりも、さらに厳密な形で問題点が指摘されると考えればいいだろう。
この予備審査の結果を踏まえて、経営者が品質システムの運用状況を確認し、見直しや改善を加えて本審査に臨むことになる。この見直しを「マネジメント・レビュー」と一般には呼んでいる。
本審査は、審査登録へ向けて実地の審査が行われる。実際には、各部門での質問と応答、作業の確認、記録のチェック、規格・マニュアルとの整合性の確認などが中心となる。肝心なことは、審査員の質問に対して、担当者が責任をもって「適切で明快な回答」を心がけることである。虚偽の回答はあってはならないし、反論や弁明も必要としない。
ここでの審査結果は、さらに判定委員会に報告され、そこで最終的な「認証登録」が決定されることになる。なお、審査はこれだけではない。登録のほかに継続維持を確認するサーベイランス、登録の更新審査などが定期的に実施される。
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登)
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(つづく) |
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