「旅館経営マニュアル」 その19
品質管理の「8つの原則」
Press release
  2001.08.25/観光経済新聞

 前号までに示した「PDCAサイクル」に加えて、品質マネジメントを効果的に運用するための「八つの原則」にも触れておこう。
原則の一番目は「顧客指向」である。当然のことといえばそれまでだが、顧客のニーズを満たして期待感に応え、十二分に満足をしてもらうことである。また、そのための内部組織づくりがここでの原則である。
 第二は「リーダーシップ」である。これは次の原則にもかかわるが、目的に向かって組織をまとめ上げていく力である。まとめるというのは、原則でしばるのとは違う。関係する各人が参画しやすい環境を整え、それを維持していくのがリーダーシップである。
 第三は「人々の参加」といい慣わされている全員参加の組織づくりである。いい換えれば、特定のポジションやセクションの人だけで運営する組織やシステムではないということ。
 第四は「プロセスアプローチ」である。目標に向かって組織が効率的に機能するためには、いわゆる経営資源が実際の業務活動の中で的確に働かなければならない。サービスの仕方など、そのプロセスを明確にするアプローチである。
 第五は「システムアプローチ」である。これは組織の有効性を高めて効率化を図るためのマネジメントでもある。つまり、必要な作業プロセスを基にシステムとしての捉え方を明確に示すことともいえよう。
 第六は「事実に基づく判断」であり、妥当・適切な判断を指している。また、こうした判断のベースとなるのが、データや文書化された情報である。事実を分析することによって、判断されたものが次のステップへ効果的に作用する。
 第七は「供給者との互恵」といわれるもので、言葉としての馴染みは薄いが、要は仕入れ業者や委託業者など、関連する外部の供給者との「互恵関係」を捉えたものである。この相互関係を重視するのもISOのスタンスの一つである。
 第八は「継続的改善」である。組織の継続的な改善は、原則の第一である「顧客指向」と密接な関係にある。いわば、企業にとって永遠の命題ともいえる。
 以上の八原則(並べ方は解説書によって異なる場合もある)は、原則として頷けるものばかりである。ただ、この原則を理解しておかないと、ISOを導入しても形だけのシステムづくりに終わる懸念がある。
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登)
(つづく)