「旅館経営マニュアル」 その18
[PDCAサイクル」(続編)
Press release
  2001.08.18/観光経済新聞

 企業が「継続的な改善」を進める最終的な目標は、企業としてなすべき目標と顧客の要望をマッチングさせることにある。このたには、@品質の改善を継続して図る体制の整備A経営のトップがマネジメントする企業体質B必要な事柄を記録し活用できる文書化システムの構築C作業を合理的かつバラツキなく遂行できる手順などの整備‐‐が求められる。 そこで、前号で「PDCAサイクル」について概略を示したが、今号では継続的な改善に絞ってPDCAの各概要を考えてみたい。
 第一の計画(P)では、「顧客重視」がISOでの基本になる。これは企業サイドからの発想ではなく、顧客の立場からの発想が必要ということである。そのうえで「方針」「目標」が策定されることになる。
 さらに、この段階でマネジメントや文書システム、あるいは本シリーズでも度々指摘した「責任と権限」などが明確化されていかなければならない。経営資源の適切な配置・整備なども大切である。
 第二の実行(D)では、前段で明確化されたサービスを、どのように提供していくかの「手順の計画」をはじめ、さまざまな対応がここでの項目である。また、仕入や業務委託なども「購入」として含まれる。
 第三の判断(C)では、一般の製造業であれば製品のチェックということになるが、旅館・ホテルでは提供したサービス内容であり、顧客満足度が重視される。また、メーカーでの製造工程の監視や諸管理が料理づくりに相当すると考えたとき、調理過程のチェックをはじめ調理設備・器具の管理、できあがった料理のチェックなどさまざまな項目での管理が想定できる。 第四の見直し(A)では、経営者による見直し・対処が大きな課題となる。いわゆるマネジメントレビューである。これによってクレームの是正や予防措置が講じられなければならない。とりわけ、経営者がリーダーシップを発揮して経営方針・品質方針を策定しても、それが完全に満たされているか否かの判断・見直しを従業員任せで放置すると曖昧になる恐れがある。 これまでもしばしば述べたように、ISOで求められる諸文書は「本音」であり、契約書と同様に完全履行されなけばならない。そのためには、絶えず経営者の目が行き届いていなければならないはずだ。
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登)
(つづく)