「社員教育」 その26
業務のバラツキなくす |
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クレームを解消することは、従業員の一人ひとりが企業の方針を十分に理解し、個人としての資質向上にもつながる。ここで大切なことは、企業の方針を着実に遂行することが、自分にとってどのような意味をもつかという点を、従業員に理解させることである。
時代は、もはや"滅私奉公"などは死語となり、企業への忠誠心を求めた終身雇用制度なども過去のものとなりつつある。ここで、その是非を論じるのは場違いだが、滅私奉公や終身雇用にしても、視点を換えれば労使双方の"メリット"に裏打ちされていたのは事実である。いわば、企業の安定と働く側への生活保障である。
そこで冒頭のテーマに戻ると、経営方針に沿った働きをしてもらい、クレームが無くなることは企業側にとって大きなメリットである。このことが従業員側に、どのようなメリットとして跳ね返るかを意識させることが肝心である。
これまで述べてきた「スリーアウト・チェンジ」の方式は、企業の「痛み」をともに実感させる"必罰"的な視点だったの対して、いわば"信賞必罰"のもう一方を明確にすることでもある。
それが「人事考課」である。人事考課とは、「やればやるだけ返ってくる。やらなければ返ってこない」とういことだ。
クレームとの関連を考えてみると、自分ではどんなに一生懸命に作業をしているつもりでも、企業側から与えられた要求事項が満たされなければ、目標を達成できたとはいえない。まして、クレームの発生につながってしまえば、マイナスでしかない。努力は目標を達成するための手段であり、評価の対象は、手段でなく目標に対する結果に下されるものである。
例えば、経営者は一日二十四時間・三百六十五日、重い責任を負いながら働きづめである。しかし、どんなに努力をしても最後の決算が「赤字でした」では、何の評価も得られない。だれも給料など払ってはくれない。
従業員に経営者と同質の意識を求めるのは無理だとすれば、「やればやるだけ返ってくる。やらなければ返ってこない」とういことだけは、企業内のルールとして明確化しておく必要がある。とりわけ低成長が恒常化した昨今では、こうした人事考課は不可欠である。情にながされがちな伝統的企業体では、システムとして確立させることが第一歩といえよう。 |
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登) |
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