「社員教育」 その24
宿の品質方針を明確に |
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クレームに対するマニュアル構成を考えてみたい。基本的には事前に想定できるものと、そうでないものは別個に対処する必要がある。
前者の場合にマニュアルそのものは、いわゆる「5W1H」に則って大きく三つの部分に分けることができる。
第一は、業務内容に対して「WHY=なぜ行うのか」という部分であり、これこそが「方針の明示」である。自館の定めた品質方針を明確にしたものであり、全員が等しく理解し身に付けておく最も基本的な部分である。
第二は、方針を実務に則して細述した「原則の明示」である。ここでは「WHAT=何を」「WHEN=いつ」「WHO=誰が」「WHERE=どこで」といった原則を示したものだ。
そして第三は、「HOW=どのように」をより詳細に示した「実務の明示」である。
これらの三部門は、互いに密接に関わっていることから、往々にして混同されることがある。つまり、クレームの改善に向けて上司が部下に指示を与える場合などにおいて、実務として「どのように」を最優先しなければならないのに、原則論ともいえる「なぜ行うのか」ばかりを繰り返し、肝心の方法論がないこともしばしばある。
さらに、こうした「5W1H」に則るマニュアルがつくられる過程そのものが、大きな意味をもっている。それが、クレームを事前に回避させる機能でもある。
冒頭で「事前に想定」できるとした意味はそこにある。一連の流れに沿って捉えてみよう。
クレームを想定するには、発生する「原因」があり、それによって引き起こされる「状況」があり、最終的な対応も含めた「結果」のそれぞれについて検討を加えることになる。
この過程において、原因を想定することで「防止措置」が当然ながら発想されるはずだ。それが内部のシステム的な部分に起因するものであれば、改善策を講じることになる。人的な要素であれば、教育と適材適所といった人員配置も考えられよう。つまり、原因の除去が可能な限り行われることになり、この段階でクレームの何割かは解消されていくといえよう。
これらを文書化して記録し、体系的に構築したものがマニュアルだといえる。これに対して事前に想定できない"新種"については、次号で取り上げることにする。 |
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登) |
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