「社員教育」 その23
“新種のクレーム”発生 |
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クレームの撲滅に向けた「スリーアウト・チェンジ」の方式は、仮に百のクレームがシステムの採用前にあったとしても、定着するにしたがって発生件数が大幅に減少し、やがて皆無に等しい状態となる。
だが、これでクレーム問題が解消したと思うのは早計で、必ずといっていいほど「ええ、こんなクレームもあるのか」といった"新種"のクレームが発生する。
そこで、発生の原因を追求することになる。このときに欠かせないのがチェックリストをはじめとする記録である。いわば「クレーム記録簿」であり、是正措置の記録書面である。ちなみに、企業経営に不可欠な「ISO」の観点からいえば「内部品質監査」「業務記録」といったものである。
これらを検証し、改善すべき点を発見して必要措置を講じていけば、いずれはクレームから解放されることになろう。要は文書化した記録に残すことである。
クレームへの対応は、基本的にはマニュアルによって、予め想定できるものに対して"ハウツー"を用意することになる。ただし、誤解してならないのは、ここでのマニュアルは発生してしまったクレームに対する緊急避難の項目であって、大切なことは発生させないための事前対応にある。この辺りの意識が欠けていると、マニュアルを過大に頼る傾向がうまれ、かえって客側の心証を悪化させることも珍しくない。
冒頭でたえず"新種のクレームに悩まされる"と述べたのは、一見して似ているクレームであっても、原因がまったく別の部分に潜んでいることも少なくないからだ。そんなときにマニュアルに頼りすぎると、クレームの上塗りをすることがある。
前回までの「スリーアウト・チェンジ」の方式で、改善点を示す場合に「WHAT=何を」というファジーなものではなく、「HOW=どのように」と具体的な内容が必要だと指摘したのは、マニュアルの内容そのものにも関連するからだ。
つまり、クレームには予め想定可能なものと不可能なものがあり、それぞれへの対応はおのずと異なる。想定できるものであれば、「HOW」を盛り込んでおくこともできるが、まったく新しいものでは不可能だ。そこで、原則論に基づいた真摯な対応が必要になる。これらを明確にしたマニュアル構成が大きなポイントとなる。 |
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登) |
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