「社員教育」 その20
「3アウト・チェンジ」 |
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クレームは、経営者が定めた“ルール”が守られていないときに多くが発生する。ルールは、全体の調和を保つために定められたものであり、いわば経営姿勢を具現させる基準だからである。
そのルールが成り立つ基本には、二つの要件がある。一つは、該当者に守る意思があることで、もう一つは守られる仕組が備わっていることだ。
日常しばしば見受けられる“バレなければ闇から闇へ”の悪癖は、ルールを守るモラルの問題として取り上げられ、意識の高揚に向けた教育システムが重視されている。ルールを守る意識教育は基本要件の一つとして不可欠だが、もう一方の仕組がややもすれば忘れられている。
人間を性善説だけで捉えれば、意識教育によってルール違反は撲滅できそうだし、クレームも未然に防げそうだが、決してそれだけで解消できないことを経営者の多くは実感しているはずだ。
そこで、守られるための仕組づくりが、ルール順守の出発点となる。いわゆる信賞必罰である。
つまり、クレームは企業にとって「痛み」である以上、クレームを引き起こした当事者にもその痛みが伝わる仕組を、システムが内包していなければならないわけだ。そして、定めたルールが完全に履行されているか否かは、チェックリストをはじめ現実の作業状況を把握できるシステムがあれば対応できる。
クレームによる企業の「痛み」を当事者に体感させるペナルティーの与え方として、私たちは「スリーアウト・チェンジ」の方式を提案している。クレームの発生につながるミスの防止策である。
具体的には、一回目のミスは所属長による注意で対応する。「こういうクレームがあったよ。これは起こしてはいけない」と、意識が甘いところを指摘し注意を与える。同時に会社として改めるべき点は改めるといった話をする。二回目に同じミスを犯した場合は、最高責任者による厳重注意の形をとる。社長や総支配人から指摘するわけだ。
そして、三回目の同じミスに対しては、厳罰で対処する。これで三振、「スリーアウト・チェンジ」である。たとえば一日休職をさせ、マニュアルに基づく自習を再度させる。同時に、以後一カ月間の減給処分にする。金額は月に五百円でもいいが、それによって本人に悔しさとルール順守の企業メカニズムを教えるわけである。 |
(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登) |
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