「社員教育」 その17
クレーム「闇から闇」へ |
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「昨日のお客さんには参ったな」
「仕方ないさ、お客さんなんだから。頭下げてれば嵐は通り過ぎる」
「騒ぎになる前に話がついたから、気にすることもないだろう」
経営者としては“あってはならない会話”が、従業員室で交わされている。クレームが闇から闇へ葬られていく一幕だ。
クレームには、施設側だけでなく客側に要因が含まれている場合も少なくない。だが、現実には料金を払う側と貰う側の立場の違いから、往々にして“客有利”の結果に落ち着きやすい。そのために「仕方ないさ、お客さんなんだから」の受けとめ方が日常化していく。そこで正論をいい、客側の非をあげつらっても得るものはない。
前述の会話は、まさに“あってはならない”のだが、こうした気風を蔓延させる日常に目を向ける必要がある。
端的にいえることは「臭いものに蓋」の発想を排除するのが第一歩なのだ。確かに、一時的には蓋が必要な場合もある。立場の違いを認識して一歩引き下がり、よほどでな限りは相手の非難を慎む場合などが、それに当たるかもしれない。だが、蓋をしたままで終わると、時間が経過すれば臭くなる。残飯を思い浮かべてもらえればいい。
比喩的にいえば、客に対しては一時的に蓋をするが、その後で必ず内部の清掃が必要だということ。放置すればやがて臭いを発する。口先で何といっても、腐敗物の臭いが客側に感じられるようになってしまう。いわゆる「慇懃無礼」な応対は、すぐに見抜かれてしまうのと同じだ。
そこで、「臭いものは元から絶たなければダメ」となる。元から断つには、さまざまなメカニズムで発生するクレームに対して、発生させない管理システムが必要になる。同時にそれを徹底する教育システムも欠かせない。
言い換えれば、上司の耳に入らなければ闇から闇へ葬ってしまう意識の排除である。ところが、クレームとなるミスに対しては、責任を追及されたくないという保身の意識が常に働く。客側に非の要素があれば、「仕方ないさ、お客さんなんだから」で転嫁し、内々で処理してしまう。それができないと同僚や他部門に責任転嫁をしようとする。これでは元が残ってしまい、クレームが繰り返されることになる。この繰り返しのメカニズムを取り去る仕組づくりが肝心である。
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(つづく) |
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