「社員教育」 その15
教育プログラムの事例
Press release
  2000.11.25/観光経済新聞

 社員教育におけるOJTの基本的な考え方は、教える側のスタンスと現場指導のタイミングなどが大きな要素となる。今回は、OJTを実際に運用する教育プログラムの事例を紹介してみよう。
 一般的な事務系の業務では、入社一日目に基本的な教育を行い、次に三日間のトレーニング(自習)を経て、五日目にテストを実施する。これによって、教育と自習による業務内容の理解度を考査し、所定の水準に達していれば“合格”で実務OJTに入る。
 この段階で、電話応対や伝票の整理・記入などの実務がはじまる。教育課程が順当に進み、基本作業でのミスがなくなれば、一般事務の場合、九日目以降は現場で作業に就くこととなる。あとは、作業の不慣れを克服し、仕事の速度アップが個人の課題だ。
 一方、客室係などは覚えることが非常に多い。したがって、このような業務部署に対応する教育プログラムでは、一定期間内にやるべき課題、あるいは仕事の単位などの、いわゆる「タスク」を段階的に区分する必要がある。実例となった旅館では、タスクを五段階に区分した。
 「タスク1」は、送迎業務・客室案内・茶湯接待を可能にする第一段階の課程である。プログラムでは、一日目にマニュアルに基づいた基礎教育を行い、そのあと三日間のトレーニング(自習)とテストを行う。これは、事務系と同様の日程だ。ただし、自習時には午前八時から十時・午後三時から六時の「玄関立て」を行い、午前十時から午後三時までが自習時間となっている。
 「タスク2」は、送迎業務のOJTを行いながら、料理運営を可能とするプログラムである。教育日程や締めくくりのテストなどは「タスク1」と同じだが、自習時の「玄関立て」が、ここでは「送迎OJT」となる。
 また、昼間の自習時間は、通常業務に即した「中抜け」となり、自習は午後六時以降へと移る。この段階になって実務OJTとともに、旅館の実質的な勤務体制に組み込まれ、「中抜け」という仕事の辛さも覚えてもらう。
 「タスク3」は、大宴会場でのOJTであり、主に総合力を計る。「タスク4」は小宴会場でのOJTとなり、一人で運営することを主眼におく。「タスク5」は小間の運営で、二部屋OJTとなる。いずれも一週間を基準にしたOJTプログラムである。
(つづく)