「社員教育」 その13
即現場で仕事をさせる |
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実情に即して構築された教育プログラムは、それを実行することで、教育にかかわる期間の短縮や労力の軽減が図られ、結果として教育コストが引き下げられる。
したがって、社員教育のマニュアルやプログラムは、低成長下での旅館・ホテル経営には、もはや不可欠な存在となっている。ただ、いわゆる社員教育だけにこだわっていると、そこに教育にかかわる“死に人件費”が生じることを前回のテーマとしてとりあげた。
マニュアル教育の徹底した大型テーマパークの場合、次のような取り組みが知られている。
「昨日入った学生を、明日からお金に代える」
これは、昨日入った学生を、今日は教育し、明日からは現場で働かせることを、極めて象徴的に言い表したものである。
大切なことは、短い教育期間であっても、マニュアルに示した内容を集中的に教えこみ、理解させたうえで即業務につかせている点である。
最近、インターネットに登場した笑い話に、大手ファーストフーズ店の接客がある。
「一円のお釣りを渡されて『お確かめください』といわれた客が、『一目でわかるものを、どやって確かめるの』と、店員の顔をしげしげと見てしまった」というもの。
つり銭を渡す時に「お確かめ下さい」というのは常套語だが、マニュアル教育を“敵視”する層には、「それみたことか」といった話題を提供している。だが、問題はこうした末梢例ではなく、教育プログラムの方にあることを知るべきだろう。
前出のテーマパークの場合、業務につかせながら、同時に次の勉強もさせている点が注目される。これは、教育システムのタスクが確実に組み立てられているからにほかならない。この時点ではここまでを理解させ、実践させるというプログラムである。
旅館・ホテルでのこうした取り組みは、教育プログラム中のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、いわゆる実地研修として活用できるが、これについては別の機会に述べる。要は、教育マニュアルの定義や使い方だけでなく、教育マニュアルは一体なんなのか。そして、かかった人件費を、即現場で仕事をしてもらうことで人件費に置き換える発想が必要だということである。つまり、教育システムは、多様な側面があることを認識したうえで整備することが決め手である。
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(つづく) |
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