「社員教育」 その11
「教育マニュアル」の効用 |
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社員教育のなかで、いわゆる「定本」になるのがマニュアルであり、本来の意味やつくり方、運用などのいろいろな角度から捉えてきた。
実際の運用場面にあっては、一つの業務における教育過程が、理論的な講義・現地でのトレーニング・自習・テストの過程を経て、「合格」により完了することなどを述べてきた。
ここで、「自習・テスト」の実際を、これまでの実例から紹介してみよう。
旅館に入社した新人に客室清掃の教育課程を教えケースだ。最初に規定の理論講義と現地での作業トレーニングを行ったあと、ここでは二日間の自習期間を設けて、三日目にテストを行った。この時点で合格をした新人は、早くも四日目には客室清掃を一通りこなせるようになったのである。
もちろん、ベテランが同じ時間内に六室を清掃できるのに対して、新人は二室しかできないといった差はあるが、それでも“即戦力化”には貢献している。さらに、五日目には前日の二室が三室にアップしたのも見逃せない。
ここで大切なことは、理論・トレーニング・自習・テストによって業務の意味や基本動作が、きっちりと身についていることである。単に作業ができるだけでは“即戦力”とはいえない。必要事項をとどこおりなくこなし、任せることができて、はじめて“即戦力”といえるからだ。
この辺りは、マニュアルや教育システムがなく、「先輩の作業を見よう見まねで覚えた」のとは大きな違いがある。
もっとも、短期間に三室までこなせるようになったが、四室にアップするのは容易ではない。そこに、作業のベテラン性が潜んでいる。それでも、あとは慣れの世界であって、一カ月後には四室といった具合に、着実に進歩した。
要は、マニュアルにおいて作業の正確性を徹底しておくことだ。そして、「あなたに、もできると」いった自信を最初にきちんと教育しておくことが肝要である。
こうしたテストを現在の社員行ってみると、おそらく不合格者が多出するはずだ。ところが、きっちりと教育を受けた後輩がそれを実践していると、その意味を理解できる経験豊富な先輩は、見習わざるを得なくなる。それが、作業の標準化を図る効果にもつながってくる。
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(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登) |
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