「社員教育」 その4
教育はカリキュラムで |
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教育はカリキュラムから
「何度も同じことをいわせないで」 「はい。でも、この方法が確実なので…」
前の上司から教えられた動作を無意識に出てしまった部下に対して、新しい上司が自分流の作業手順を教えている。しばしば起きる業務上の食い違いであり、どちらが正しいという問題ではない。要は、教え方と教えられ方に原因がある。
人間には個性があり、同じことがらでも人それぞれ受けとめ方が違う。個性が発揮されて好結果につながる場合や、逆にまったく拒否されることもある。いずれにしても、人によって結果が変わるようでは、サービス業の最低限のレベル維持さえおぼつかない。
冒頭の場面を整理してみると、新しい上司が一生懸命に教え込もうとする姿と、慣れた方法で手際よく現場を処理しようとする双方の努力が、うまく噛み合っていない。
教える側の問題点は、口頭や動作で理解させようとしている点にある。個性と同様に理解力にも個人差がある。同時に、言葉に対する受けとめ方も個人によって違う。これでは、同じ言葉で説明を何度繰り返しても、部下には伝わりにくい。勢い、実践で経験を身につけるしかないと短絡してしまう。
一方、教えられる側も耳で聞き流しているだけで、教えられたことのメモさえとっていない。これでは、貴重な示唆も指摘も自分のものとはならないし、苦痛になってくる。苦痛が人間関係に影響を及ぼすことは、いうまでもない。煙たい上司、口うるさい上司、さまざまな不満のタネを心に根付かせ、その場だけをやり過ごそうとする。
この事態は、経営側に責任がある。結論からいえば、社内の教育システムに不備があるからだ。 社員教育のポイントは次の点があげられる。
@ 教育・作業内容を文書化する。
A 誰が教えても同一の内容が伝わるシステムを構築する。
いわゆるマニュアルの整備であり、教育制度の確立だ。そして、教育制度とは、一定の教育期間を設けて学習させるだけではないというのが、重要なことだといえる。教育手順をまとめたカリキュラムが整備されていなければ、二点目の「誰が教えても同一の内容を伝えるシステムを構築する」ことにならない。これを怠ると、マニュアル教育の弊害が起き、勝手な解釈でサービス内容のバラツキも生じる。
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(続く=企画設計主任コンサルタント・平野茂登) |
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